監督、ケーリー・グラント、女優など全て素晴らしいです。
ヒチコックがどこかで「ケーリーグラントは喜劇に向いており、ジェームズスチュアートはシリアスな映画に向いている」と言っていたが 正しく その通りである。 ケーリーグラント出演のヒチコック映画の最高傑作である本作を見ると ヒチコックの言う事がいかんなく発揮されている。 とにかく終始笑える。「巻きこまれ方映画の代表作」ということらしいが 主人公が何をやっても悪いほうに巻き込まれていく姿は抱腹絶倒。その間のケーリーの神妙ですました顔はミスタービーンも真っ青である。どう見てもケーリーは 英国紳士然とした美男子であり これを喜劇に起用したヒチコックの「慧眼」たるや恐るべしと思わざるを得ない。 それにしても この映画を見て爆笑している我々も よく考えてみると 「巻き込まれ方人生」をおくっているような気もしないでもない。笑っている場合でもないのかもしれない。
もし誰かに面白い映画を教えてくれと何の脈絡もなく聞かれたらこの映画を薦めることでしょう。 人間の欲望のツボを見事にここまで抑えた映画はそうざらになくて、恋愛、サスペンス、トラックと飛行機の激突アクションシーン、モニュメントでの崖での対決、それにこのシーンには二重のプロットがあり、列車でのサスペンス。 他のサスペンス、ミステリー映画を1000本合わせてもやはりこの1本にはかないません。 極楽という表現の最もあてはまる映画の極致!
山田宏一と和田 誠。映画通のふたりが、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画作品について自由に、気軽に語っていく対談集。「ヒッチコック映画、だーい好き」「この映画のね、ここがとっても面白いんだ」「この映画には、こんな裏話があるんだよね」などなど、サスペンス映画の巨匠の作品を語り合っていくふたりの生き生きとして楽しい雰囲気が、とてもいいですね。ヒッチコック映画のファンのひとりとして、画面ならぬ本の頁に釘付け状態。久しぶりにあの映画、この映画の忘れがたいシーンが蘇ってきて、夢中にさせられました。
例えば、『泥棒成金』の項。Y(山田)が、<ヒッチコックはケーリー・グラントに「グレース・ケリーとキスさせてやるから」と言って映画に誘ったらしいよ(笑)。ケーリー・グラントも「グレース・ケリーとならぜひキスしたい」(笑)と出演を承諾したって言っている。>と語るところ。思わず、「へーっ。あの映画の裏にはそういうことがあったのかー」と、心の声を上げていました。この次、『泥棒成金』見る時は、今まで以上にキスシーンに注目だあ(笑)
ヒッチコック映画を語るうちに、ほかの色んな映画の名前がそれからそれへと挙がってくるのも面白かった。『スミス夫妻』の項で、スクリューボール・コメディの秀作がずらずらっと挙がってくる件りなんか、「すげぇー」て感じで拍手したくなりましたねぇ。で、そこ(本書の96〜97頁)に出ている作品の中から、前から「見てみたいなあ」と気になっていた映画のDVDをたまらず、注文してしまいました。 という副産物もあったり、ヒッチコック映画をまた見てみたくなったり、本書はいろんな意味で面白く、興趣が尽きません。
スリル,サスペンス,ラブ,全て最高のエンターティメント.エバ.メリー・セイントの妖艶な美女とケーリーグラントの組み合わせは最高.
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