タイトルは『サスペリア』に似ていますが、女性だらけの閉塞空間に、一人の女性が新たに入っていく、という設定しか、類似していません。 七歳までの記憶のないエリザベス、父の死をきっかけに孤島の修道院を訪れ、しばらく滞在を余儀なくされる。そこで尼僧たちが行う奇妙な儀式を目撃、命を狙われるように・・・――といった物語で、船で島へ渡るところなど、『ウィッカーマン』を思わせますが、まったく違う方向へと、物語は進みます。ネタバレ予防として、詳細なストーリーは伏せますが、本作の魅力は物語や脚本にはなく、左脳で考える恐怖より、視覚・聴覚の右脳的恐怖をお好みの方に、おすすめです。
一つだけ難をあげれば、本作のキーとなる紋章の意匠、特に血液によって浮き出てくる絵がヘヴィメタル系バンドのCDジャケットのよう、妙にくっきり、印刷されたような絵なのが、若干興ざめでした。もっと原始的に稚拙な絵か、正気を疑うほどの細密な絵であれば・・・と思いましたが、それは些細なことです。
物語の展開、ショックシーンの演出などは、いかにも正統派ホラー映画、特に前衛的だったりシュールだったり、する訳ではないのですが、現実と夢(幻想)と回想が、解説なく入り交じる主観的な場面の連続、動物の鳴き声をミキシングしているのだろう生理的に落ち着かない音響、特に笑っているようなすすり泣きの子供の声と、黒こげになって転がる老婆の呻き声はかなり異様。 また、血だらけで笑顔を見せる少女や、黄色い炎に彩られた沢山の十字架は、セルゲイ・パラジャーノフ監督映画『ざくろの色』を思い出す幻想的な構図、とても美しい。登場する女の子たちも、みな美少女。だからこそ、情け容赦ない血みどろショックシーンが際立ちます。普通、美しさを売りにしたホラー映画は、さらりとした流血シーンを多用、肉や内臓は映さないことが多いのですが、本作はどろどろの肉片や内臓が、これでもか、と多用されるため、女性の裸体はまったくといって良い程でてこないのに、どこか生々しく性的な印象が残ります。
個人的な印象として、もっとも怖かった場面は、主なストーリーとは無関係なのですが、冒頭、エリザベスが孤島へと向かうバスのシーンの乗客。 (余談ですが、このとき、道路の左右に電柱らしきものが林立しているのですが、左側の柱はほとんどがまっすぐ、右側の柱は全てが十字架に見える。彼岸此岸の分岐点を示しているのでしょうか?) この客たちは、ここにしか登場しないエキストラ、何をしている訳でもないのに全員が狂的で、人間の喜怒哀楽表現そのものが不気味に感じられ、しばらく他人の顔を見られなくなりそう、イントロダクションとしては行き過ぎているほど、怖かったですね。
この映画をすすめて下さったレビュアーさんに感謝します。 ちなみに、「水が怖い映画」だ、と教わったのですが、あえて「水」への言及はしませんでした。理由は・・・ いつか、レビューをお待ちしています、Bo-he-mianさん!
以前、海外旅行の添乗員さんが持っていてみんなの荷物を量ってくれました。その時は海外でしか手に入らないと聞いていたのですが、アマゾンで手に入ることを知ってさっそく購入しました。今回トルコ旅行に持って行きましたが、コンパクトで軽量なのに機能はしっかりしていて安心して計量チェックができとても重宝しました。同行した人たちにもお貸ししてありがたがられ、みんな帰国したらさっそく購入するということで大人気でした。
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家庭内に充満する有害化学物質の情報源としてWWFのバックアップで出版された書物らしい。 全体を概観するには完全にカバーしているという印象はない。 対策は自然素材と言う主張も単純過ぎて迫力に欠ける。 塩ビ壁紙に代わるものにポリオレフィン壁紙があり、塩ビや塩化ビニリデン(サラン)ラップに代わるポリエチレンラップなどがありこの種の情報も提供すべきである。 医療関連では塩ビ系の素材を今でも使用しているとの記述があるが、本当とは思えない(ベトナム戦争の頃、輸血トラブルで日米で問題となり、輸血用の軟質塩ビチューブの可塑剤が原因と特定され、以後は塩ビ系は禁止のはず)。 新車の匂いなど、素人には大変に興味ある話題で、もう少し迫力のある記述が出来なかったものか残念である。 翻訳を担当した日本WWFも日本独自の情報を追加すべきであった。
環境重視のPRをしている旭化成がいまだにサランラップを市販している姿勢は理解できない。小さい文字で「食品を直接ラップさいないこと」のような表示はしているがそれで済む問題ではない。 危険な塩ビ製品は日本が一番普及している気がする。プラスチック袋(ポリ袋)を総てビニール袋と言うのも日本特有の現象(アニタ・シュリーブの小説で「魚をポリ袋に入れた」という原文を「ビニール袋に入れた」と翻訳してあった)、恐るべし塩ビ公害(悪者は20−30%添加されている可塑剤フタル酸エステル)。
少年の頃から怪奇映画が好きだった筆者は、真にゾッとするのは、血が飛び散ったり人体が損壊される映像そのものを見せられる事よりも、目に見えない気配、を感じさせる映画である。そうしていくと、「怖い」と思う映画はオカルトが多い事に気づく。 『サスペリア・ナイトメア』は、ムードで見せる「怖さ」においては極上の知られざる傑作である。
孤島の修道院にやって来たエリザベス(ルイーズ・ソルター)。そこは、亡くなった父が生前、なぜか献金を続けていたのである。7歳までの記憶がすっぽり抜け落ちているエリザベスは、この土地が自分の過去と関わっていると考えていた。そして修道院に滞在したその日の夜、彼女は早くも恐ろしいものを見てしまう・・・!しかし、島から逃げ出そうにも、船が来るのは週に1回。得体の知れない夢と幻覚に襲われながら、エリザベスは何かに誘われるように修道院の地下に降りてゆく・・・そこで彼女を待つものは。
この映画の何が凄いのかと言うと、「水がしたたり落ちる」だけで怖い。怖いのだ。嘘だと思うのならぜひ観てほしい。これはイタリア映画だが、英語のタイトルは『Dark Water』。アメリカでこの映画を配給した担当者も、「水が怖い」と感じたに違いないのだ。 窓ガラスを、石づくりの壁を、そしてキリスト像の上からしたたり落ちる水・・・。他にも印象的なのは、ろうそくの炎。地下道に点された、無数のろうそくの炎のゆらめき・・・「したたる」「ゆらめく」水や炎といったエレメントを使って、人間の根源的な恐怖心に訴えかけてくる演出が秀逸なのである。 もうひとつの怖さは「盲目」。この映画には盲いた人物が多数出てくる。盲いた尼僧長。地下室には盲いた画家。盲いた人々が描かれたフレスコ画・・・。浜辺で一心不乱に刺繍をする老婆も盲いていた・・・。 「お帰り、エリザベス・・・」 魚の死骸で埋め尽くされた浜辺。炎に包まれた十字架。血にまみれた幼な児。その邪悪な微笑み。 赤子の泣き声に、得体の知れない獣の呻き声が重なり、エリザベスは封印された記憶の深遠へと墜ちてゆく・・・。
本作は、ローマ国際ファンタスティック映画祭で、「ヴィンセント・プライス特別賞」を受賞。「心を掻き乱す映画。恐ろしい!」「この鮮烈で野蛮なイマジネーションにブラム・ストーカーも嫉妬するだろう」「ゴシック映画ファンをも満足させ歓喜させるホラーの傑作」とマスコミもこぞって絶賛。 監督のマリアノ・バイノの作品は、残念ながらこの1作以外は日本には紹介されていない。その後の、そして現在の活躍が最も知りたいホラー映画の監督だ。「映画秘宝」にはぜひこの監督を強力特集してほしい。そしてDVD化による普及ももちろん、だ!
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