メリー・ホプキンは18歳の時にポール・マッカートニーに認められアップルと契約し、1968年8月のマッカートニー・プロデュースによるデビュー・シングル「悲しき天使」が大ヒットを記録したシンデレラ・ガールです。アップルからは2枚のアルバムと1枚のベスト盤、7枚のシングルをリリースしています。 この2枚のオリジナル・アルバムとの重複する曲がほとんどない、シングル・ヒット中心のベスト盤が本作品です。最も完成度が高いのはセカンド・アルバムと思いますが、ビートルズとの関係を考えながら聴くには、またメリー・ホプキンの入門編として聴くには、まずこのベスト盤がいいでしょう。 中でも特にお勧めの曲は、ヒッチコックの映画「知り過ぎた男」でドリス・デイが歌ったことで有名な「ケ・セラ・セラ」です。ドリス・デイは強く感情移入して(ある意味「演歌」みたいに)歌いあげていますが、この曲がさらっとポップに変身、最もビートルズ風な作品になってます。この曲が「アビー・ロード」録音時期である1969年8月にポール&リンゴと3人でわずか半日で録音されたという事実、またポールにとって「ケ・セラ・セラ」は父のお気に入りという大切な曲であること、またこの曲の歌詞が「レット・イット・ビー」のヒントになったと考えられることなど、興味は尽きません。結局メリー・ホプキンがこの曲のシングル化を拒否したことで相互不信が昂じ、ポールとの蜜月関係の終焉を迎える原因となったわけですが、メリーがこの名アレンジを気に入らなかったとは信じ難いです(よっぽどフォーク好き・ポップス嫌いだったんでしょうね)。 ほか「イーシャー・デモ」(ジョージ・ハリスンの別荘で行われたホワイト・アルバムのデモ録音)で聴ける「グッバイ」の完成形が聴けるだけでも価値があると思います。
1があまりに有名なアルバムですが、それ以外の曲も捨てがたいものがそろっています。 (最後には1のイタリア・スペイン語版入り) 全体的に清流のようなアルバムです。 今こういう歌だけで勝負するアルバム少なくなったので、逆に新鮮に聞こえます。 紙ジャケはシンプルなシングルジャケですので、あまりおもしろさはないです。
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