自分にとって、これほど心を動かされたドラマは後にも先にもこの作品だけだろうと思う。 いろんな場面で泣かされました。 各出演者がそれぞれいい味を出していますが、その中でも香取慎吾の演技がすごく良かったです。 あの役を演じきるのはなかなか難しいと思うけど、それを見事に演じ切った彼は賞賛に値すると思います。 終わりに流れる主題歌のカーペンターズの「青春の輝き」も、すごくこの作品とマッチしていたと思う。
「コンクリート殺人事件」未だにこの事件より凄惨な事件は私は無いように思う。死者は一人であったが、そこまでのリンチ等の至る経緯が本当に凄まじかった記憶がある。被害者のきっかけもたまたまそこを通りがかったという根拠の無さにも関わらずそれに矛盾するかのような凄惨さ。そのギャップの理解に今だ苦しむ。しかも拉致されていた家の母親はその被害者と実際顔を合わせていたという不可解さ。しかし犯罪少年以外はその「部屋」に踏み込む者はいなかった。正に「聖域」であった。その全容をこの本では執筆されている。 当時の事件の経過を詳細に記述されているが、それ以外に本書の特徴として、犯罪を犯した少年達の生い立ちから犯罪に手を染めるまで実に詳細に記述されている。勿論これだけ凄惨な事件を犯した訳だから、犯罪者側の肩を持つという事は更々ないのだろうが、各少年達の過程環境等の生い立ちの記述を読んでいくとそれらがこの事件に何かしらの影響を及ぼしていたというのは否定できないような気がした。 全体的に被害者より加害者側を詳細に扱った本である。この事件自体を詳細に扱った書物はあるかもしれないが、犯罪者側のバックグラウンドまで掘り進めたという観点では貴重なルポ本かもしれない。
グラビアアイドルにひけをとらないルックス。内容もマーブルチョコレート
をちりばめたようにポップでキュートな仕上がりです。DVDつきですので
お得です。
ドストエフスキーの長編では、最も知名度が低いと思われる作品。 それもむべなるかなで、何だか混沌として、よくわからない。 晩年に近い、「カラ兄」前の長編だというが、無名時代に書いたのかと思うくらい完成度は低い。 一体何が言いたいのか?という感じ。 主人公はコンプレックスの塊のような若造アルカージイだが、「カラ兄」のアリョーシャのような好青年ではなく、ひねくれて小生意気で、しかも酒・ギャンブル好き。 およそ可愛げがない。 主人公の手記という形の一人称で、父との関係を中心に話が進むが、前半は反発していた父の評価が後半はガラリと変わったり、分裂的な印象がある。 登場人物も錯綜しており、筋を追うのが難しかった。他のドストエフスキーの作品では、そんなこと余り感じなかったのだが・・・ しかしさすがに最後は盛り上げ、締めは主人公の知人がこの「手記」の感想を手紙で述べるというオチ。 自分で解説まで付けたわけで、「戦争と平和」っぽいが、事実ドストエフスキーはそこで「戦争と平和」論も披露している。俺は歴史小説ではなく現代小説を書いたんだ、というわけだが、その姿勢が後の「カラ兄」を産んだと考えると、やはりファンは必読かな。 ドストエフスキー初めて読む人には薦められないが。
主人公アルカージイの手記という一人称の形式で物語は進行する。アルカージイのまるで熱に浮かされたかのようなほとばしる情熱は若き血潮のたぎりそのもので、そこがこの小説の大きな魅力でもあり、読み進ませる原動力のもなっているが、文章は帰結するまでに、微妙にあちこちに脱線し、力ずくでまとまりをつけているという感じで、読み易い小説ではない。章が細かく区切られているので、読む手助けになるが、噛み砕き難い小説だ!文庫として廃刊になっていたのも、こういうところが要因なのかもしれない。もしかしたら、未成年者の主人公ということで、未熟さを表現するためにわざと乱雑に書いてみたのだろうか?文豪円熟期の作品ということだが、錯綜しながらも文がまとまっているのは、力量のなせる技と感じるが、前ふりしていた登場人物が出て来ないなど、明らかな欠陥も見られるし、僕の理解力のなさなのかもしれないが、何を言いたいのか、今ひとつはっきりしない感じだ。ただ、父と子の葛藤が大きなテーマ、この小説の最大のテーマであることは間違いない。アルカージイの実の父ヴェルシーロフは、ドストエフスキーの小説は個性的で、印象の残る人物が非常の多いが、その中でも、特に際立った人物の中の一人である。氏の小説の登場人物は白黒はっきりした人格が多いのだが、どっちともつかないというのが、ヴェルシーロフの特徴で、頭脳の怜悧さも相まって、不気味で神秘的な雰囲気を与える。誰でもそうであろうと思うが、父という存在は巨人のような存在だ。薄っぺらな中身のない男でも子がいれば、子から見て然りであろうと思う。ヴェルシーロフのような父を持っていたとしたら、その存在の大きさは計り知れないであろう。ましてや、籍に入れてもらえないとあれば、心の憤りは尋常である筈がない...もう一人ドルゴルーキーというアルカージイの戸籍上の父親も印象に残る登場人物の一人だ。アルカージイが二人の父親のついて語るところがこの小説の一番の読みどころではないだろうか?「宿命の女性」と言われるカテリーナ・ニコラーエヴナを破滅に導くという手紙のくだりは、作品全体にサスペンス的な要素を醸し出すが、もったいぶった割りには、それほどドラマティックな効果はなく、拍子抜けする。また、今ひとつ個性的な人物がいないというのも、この小説の残念なところだ。とにかく、読後感として不完全な感じは拭いえない。再読すれば、新たな発見や見落としも見つかるのだろうが、いつか通読してみようという刺激には、物足りないし、この長さである。よっぽど、気が向かない限りはありえないないだろう。でも、突出した才能がなければ、とても書ける小説ではなことは確かだ。
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