事故を起こした作家。 それを保護した元看護婦。 いわゆる「密室劇」の恐怖が描かれます。 密室劇ではストーリー展開の制約があるため、そのディテールと 人物像が如何にリアルで緻密に掘り下げられるとともに、 広大さに拮抗するパワーを持てるかが成功の可否を握っているが、 「ミザリー」の完成度はとにかく高い。 映画化され、キャシー・ベイツの出色の演技が素晴らしかったですが、 「密室サイコ劇」としての完成度は小説の方が遥かに上回っています。 「ファイアスターター」と並ぶ、キング長編として、キングファン のみならず多くの人に楽しんでもらえる作品です。 最後のシーンで僕は本当に主人公の作家に感情移入し、 「ほんとに良かった。助かったんだね!」 と興奮しつつ、少し涙ぐんでしまった。
「ミザリー」という女性を主人公にしたシリーズ小説で ベストセラーとなっている作家が交通事故を起こし、 大けがをした作家を「ミザリー」シリーズの大ファンが助け出すところから始まる。
これまでに観たホラー映画でもっとも怖い作品のひとつといっていいもので、 とにかくアニーの狂信的な想いが怖くてたまらない。 短気で感情的で、自分の思い通りにならないとすぐ癇癪を起こす怖さ。 かと思えば完璧な手段で追い詰めてきたりと非常に恐ろしい。
ごく限られた登場人物ながら、とにかくキャラクターが濃く、 テンポも良くて一瞬たりとも目が離せない。 最初から最後まで見事な造りで、完成度が非常に高い作品。
最近はとんとご無沙汰なロブ・ライナー監督、スティーブン・キングの量産された映画化作品の中でも数少ない成功作と言われています。ひとえにミザリーを熱演しているキャシー・ベイツの存在がモノを言ってる感じ。原作はもっと残酷な話なのですが、アメリカ映画のモラルがそれを無視してしまっているのが残念。キモチはわかりますが・・・しかし、原作通りのハードな描写があればもっとカタルシスを感じられたのにと残念。
とても……いや、かなり面白かったです。 スリラー作品の真髄がここに詰まっています。 飽きさせない脚本、心臓を揺さぶる演出、緊迫の名演技。 名作と呼ばれる所以を理解しました。
それにしてもアニーはクレイジーにも程がありますね。 もはや冒頭の事故も彼女の仕業だと疑うレベルです。
私には、ページをめくるのが恐くてしょうがなかった本が過去に2冊あります。ひとつは安部公房の「砂の女」なんですが、もうひとつがこのミザリーです。「もうやめてぇぇ」状態。でも最後まで読みました(寝ずに)。
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