一応これでも作者のファンである。主だった作品も拝読している。しかし、だからこそあえて言わせていただく。読めば読むほどマンネリズムを感じてしまう作風をどうにかしてほしい。ヒロインの作画は相変わらず美麗。所々で急に拙くなるところも散見されるし、肝心の局部描写に女性像ほどの気合いが感じられないが、それを些末と脇に追いやる美しく可憐な美女&美少女を描いているのである。ただ、成年コミックにあっては、ただ可愛いだけでは持たないことも明白。官能的にぐっとくるものが無ければ続かないと断言したい。本作収録の11編に共通するのがストーリー性の希薄さと覇気のなさ。捻りもなく盛り上がらない展開にあっさりな合体が一度きり。そして唐突に訪れる結末。最後に1頁を費やしたオチはともかく、1〜3コマくらいで急に話が終わる作品では尻切れトンボな印象を受ける。
ここからは素人の勝手な物言いだが、一度原作付きの作品を手掛けてみてはいかがだろう。見方が変われば作品全体の構成も変わるだろうし、フックの利いた展開の盛り込み方も見えてくると思う。八月薫や艶々(敬称略)といったビッグネームでも原作付き作品を数多く手掛けている。こうした変化球的経験を積むことで、情交シーンを複数回盛り込むような作品もできると思うのだが……。かえすがえすも身勝手で大きなお世話かと恐縮するが、個人的にはライトノベルの挿絵なんかも手掛けてほしいと思うヒロイン描写なので、この持ち味をさらに活かす“武器”を体得して磨いてほしいと切に希望するのである。
ゆうきともかファンならば外せない1冊であること間違いナシ!
収録内容
・MENS JOB
撮影中に鼻血を吹いて倒れた新人アシスタント、そんな彼に女優が・・・
・ふたりだけの絆
8年前高校時代に出会った田舎の少年に告白され・・・
・始まりの夏
いまだにキスもしたことない彼女をとっておきの場所に連れ出したのだが・・・
・教授・その愛
アダルトグッズを開発する教授に助手の美咲が告白を・・・
・その気にさせないで
やる気の無い生徒がやる気を出す為に出した条件に女家庭教師は・・・
・愛は煙草の彼方に
チェーンスモーカーの修が一ヶ月タバコをやめたら何でも言うことを聞くといったサツキに修が出した条件は・・・
・恋をしよう
手すらまともに握ったことの無い彼女と二人だけの旅行に・・・
・夢を一緒に
会社で出会ったバイトの娘に誘われ、プールへ・・・
・一年目の二人
つきあい始めて一年目のプレゼントに彼が彼女に渡したものは・・・
・愛情のカタチ
マンガ家の彼女と付き合う普通のサラリーマンの彼、そんな二人の夜は・・・
全編女性キャラはちょい巨乳系ですね、そして全編ハッピーエンドになっています。(陵辱系が苦手な方にお勧め)
個人的お気に入りは愛は煙草〜ですね、煙草を吸う彼女に煙草をやめさせるために自分が禁煙する男の努力する姿がいいですね。
幾分お姉さんな表紙に期待したが(何を?)出てくるヒロイン達は良くも悪くも普段のゆうき作品だった。相変わらずのハイレベルな美麗さではある。初出掲載時期が不明なので憶測だが、後半の数作はやや古い作品ではなかろうか。全10編だが表題作【蜜愛】が百合である。また、筆下ろしをしてあげる【らぶカウンセラー】は、主人公に彼女がいることを知らずに惚れたコメディなオチで、恋慕の情が成就に至らない結末が珍しい。他にもゆうき作品にしては一風変わったストーリーの作品が見受けられるが、何か漠然とした物足りなさを感じる。胸キュンのラヴストーリーとはちょっと違うからだと思う。もとより激しい情交描写で魅せる作風ではないので、ストーリーの起伏や面白味が足りないと正直キツいように思う。何だろう、作者の意気込みみたいなものもあまり伝わってこないのである。
作者の6作目にして平仮名名義での初作品との事。名義変更による作風の変化はなく、物静かな雰囲気の中で交わされるほんのりとした愛情が甘い短編が11編収録されている。何と言うか、目立たないんだけどちょっと気になる美少女みたいな、多くの人にはなかなか気付いてもらえないが波長が合うと俄然存在感が増すような、そんなポジションにいる作風に思う。なので、こうした「知る人ぞ知る」ところが魅力でもあるし欠点でもあるのかもしれない。ハッピーエンドばかりで良好な展開だが、ぐっと突き抜けたものがないのも事実。この小粒感の払拭が今後の課題の1つかもしれないが、何しろ遅筆っぽい作者だし、このテイストは作者そのものから滲み出る優しさだと思うし、第一ファンが(どれだけいるのか不明だが)この作風というかポジションを是としている中で大きな変化を本気で目指すのであれば、既存の読者層をないがしろにするくらいの大胆な路線変更が必要であろう。この特徴的かつ独創的な美麗描写をもっと多くの人に知ってほしいと切に希望しつつ、メジャーにはなってほしくないような、失礼な例えだがB級アイドルを愛でるような感覚を抱かせる作風だと思う。このテイストに見合った、極めてソフトな情交描写でもある。
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