基本コレクションとして推奨できるセットだと思います.
ベロフの若い頃の録音には,才能はあるが,何となく,ドビュッシーが好きでもないというような,よそよそしさが漂っていたような気がします.ところが,数年前,NHKの「スーパー・ピアノ・レッスン」という番組でドビュッシーを指導するのを見て,驚きました.そもそも,レッスン生と比べて大家が上手だの何だの言っても始まらないのではありますが,講師のベロフが語って聞かせ,弾いて聞かせる音楽の,段違いな水準には脱帽するしかありませんでした.お手本の演奏は,軟弱・茫漠とした「印象派」的ドビュッシー像を超越しており,ほれぼれと聞きき入ったものです.
故障から再起したベロフの心技体の充実ぶりは,ドビュッシー把握の深さを感じさせる確信に満ちた演奏として,この集成にも記録されています.惜しむらくは,音の抜けがもう少しという印象であることですが,内容は全体に安定して高水準で,現代のスタンダードと言ってよい説得力があります.これを基準に他の演奏解釈を評価するに足るものだと思います.
このピアノの本は、NHK教育番組のテキストです。
毎回一流のピアノ講師が教えてくれる、
ピアノ上級者向けの人気シリーズです。
今回はフランス音楽、ドビュッシー、ラヴェルなど、
弾きたいけど難しすぎて、初級〜中級レベルだと先生にも
教えてもらえないようなキラキラ作曲家の曲が満載です。
でも「亜麻色の髪のおとめ」とかポピュラーな曲が多く、
なんといっても「短い!」のが素敵。
テキストの楽譜を見て頑張れば、初〜中級者でも
1曲ぐらいは弾けるかも・・との期待が持てます。
講師はミシェル・ベロフ、TVを見て練習すれば効果抜群、
ぐんぐん上達、かも。
曲は「亜麻色の髪のおとめ」「水の戯れ」「舟歌」
「スカルボ」「月の光」「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
「雪が踊っている」「小さい羊飼い」
「ゴリウォーグのケークウォーク」「道化師の朝の歌」
「金の粉」「沈める寺」「花火」「聖母の最初の聖体拝受」です。
演奏の良し悪しは、私にはわかりません。 単に、「ドビッシーの前奏曲」の全曲を聞きたい者にとっては、安価ですし、満足です。
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