とても素晴らしい小説だ。 まるでコールウッドの炭塵が胸に入ってしまって、それで苦しいのかと思うほど、読んでいて胸が苦しかった。全体的に見れば爽やかな青春群像劇で、ロケットボーイズの頑張りは感動を呼ぶ。苦しかったのは、とても現実だったからだ。主人公サニーの家族は、ほとんどの現実の家族と同じく、バラバラだ。数々のすれ違いや、タイミングの悪さ。様々な祈り。ほとんどの部分がノンフィクションだというこの小説は、「ロケット」ともう一つ「家族」という軸がある。町全体が家族のような場所、コールウッド。人生は輝かしいばかりではない。だが苦しいばかりでもない。本当に家族はバラバラだったか?じゃあ家族の絆って? ロケットが空に向かって飛び立っていく、その音、ヴィジョン。読み終えたあとは解き放たれた気分。
スターウォーズやゴッドファーザー、ローマの休日、バック・トゥ・ザ・フューチャー等、名作と言われる映画は多く観てきました。 もちろんどれも素晴らしい作品で感動もしたのですが、どうしても観る前に他の人の感想や宣伝が目に入ってしまい、純粋な意味でゼロから観て感動したとは言えませんでした。自分の中で「これらは名作と言われているんだから感動するんだろうな」「良いと思わないといけない」という気持ちがわずかですがありました。名作と言われる絵画を観て「名作と言われているんだから凄いのだろう。凄いと言わないと分かってない人と思われる。」という感じと同じです。観ていなくても聞いたことのある有名なストーリー、有名な俳優、名シーンの数々。これら断片的な情報を抱えたまま観ていたので、感動も「予想どおりの感動」といえるものでした。
この「遠い空の向こうに」を最初に観たのは高校生の頃です。英語の授業で先生が英語の教材として皆に観せてくれました。 おそらくですが、クラスメートの誰もこの映画を観たことが無かったと思います。いつもどおりのどこか集中が欠けた、おしゃべりの聞こえる授業でした。映画が始まり、設定は昔のアメリカ、知らない俳優、聞いたことのない題名。当然、クラスのやんちゃ君達はお喋りしていました。しかし、映画が終盤にさしかかる頃には誰一人喋っていませんでした。自分も最初は大して映画に集中していなかったのですが(あーどうせまた安い感動系の話だろ、くらいにしか思ってませんでした)気づけば画面に釘付けです。ラストのシーンでは目頭が熱くなり泣きそうになりました(さすがに学校で泣くのは恥ずかしかったので耐えました)。
なんの予備知識も無し。知ってる俳優は一人もいない。 しかし、この映画は名作だ、と心から思いました。 ガイドブックに書いてある名所に行って感動したのではなく、自分の足で歩いてたどり着き観た景色に「ここはきっと名所になる」と確信したような感覚です。 事実、あれから10年近く経ち多くの映画を観てきましたが、未だにこの映画が自分の中で一番です。もちろん、人それぞれで意見は違いますが、自分はこの映画は50年経っても語り継がれると確信しています。 その質と世間の知名度。この大きな差にガツンとやられました。
名作と知って観る感動と、知らずに観てそれが名作だった感動。 こんな感動が得られることがあと何回あるのかと思うと、自分は本当に良い出会いをしたと思います。
「本当の話」ほど感動するものはありません。どんな逆境であっても夢を実現しようと努力すれば、手をさしのべてくれる人もいれば、理解してくれる人もいる、とこの映画は訴えかけてきます。原作の「ロケットボーイズ」も読みたくなってしまいます。この映画の最後にながれる実際の人物の古いフィルム観ると、さわやかな感動とともに涙があふれてきました。又、特典映像でも実際のホーマー・ヒッカムが語りかけてくるので、より感動的でした。
NASAの元エンジニアのHomer H. Hickam, Jr. 本人の1957年から1960年の高校生の時代を中心に書いた自伝が"Rocket Boys"、そしてその映画化が"October Sky"(邦題:遠い空の向こうに)です。映画的な省略はありますが、映画は本の内容に沿ったものになっていると思います。 ロケットという夢の実現させるための若者の挑戦の物語であり、父と子の理解の物語(映画はこの部分に重点が置かれている)と思います。 挑戦すべきターゲットを見つけ難い現在の世の中ですが、若い人たちに読んで欲しい、観てほしい物語です。
昔の映画のコンピレーションアルバムが多い中で、ちょっと他にみたことがないセレクトで若い人にもとても楽しめる作品だと思います。感動系の映画が好きな人にはたまらない作品だと思います。
|