ライブでの録音では無いのですが、まるでクラブとか何かで聴いていて、今にもグラスの触れ合う音とか、店内のざわめきとかが聞こえてきそうなくらいのリアルな録音です。まるで「そこ」で演奏しているみたいなので、たとえば、「そこ」での水滴の付いた冷たいグラスの触感、スポットライトの光の中で拡散していく煙草の煙、隣に座っている女の人の口紅の香りとかさえも割と容易く実感してしまえるほどなのです。彼女の声も頬を掠めるような感触で伝わってくるので、聴きどころになると、いつの間にか息をひそめるように聞き入ってしまいます。白眉なのは、アップテンポな9曲目『Something's Gotta Give』から、次曲『Moon River』への展開です。グラスを握った手も、煙草をはさんだ指も思わず止まってしまうでしょう。そして、最終曲『Here's to Life 』 ようやく大きく息を吐き出せた胸の内に、この曲が静かに染み渡ります。
このアルバムでの小曽根真の、そのピアノの音の広がりが素晴らしい。夜空の彼方にまで拡散していくように広く、同時に、その折の、微妙な湿度感や、空気感まで伝えているようです。そのせいでしょうか。初夏の、夕闇がすべてを包み込む寸前の時刻の、少し冷たい、そして、その冷たさがとても心地よい夜風に吹かれながら、伊藤君子の唄に聴き入っているような錯覚に陥れてくれます。正に、「連れて行ってくれる。」音だと思います。 とても気持ちの良いアルバムです。
シリーズ2冊目。
お父さんとSarahの結婚式が終わった夏、大草原には、ずっと雨が降らなかった。
少しずつ池や井戸の水が枯れ、井戸を失った家族が一つ、また一つと大草原を去っていく。
「必ず帰ってくるから…」そう言って去っていく人たちは、二度と、帰ってこないかもしれない。
とうとう、AnnaとCalebも、Sarahと一緒にSarahの故郷へ行くことになった。
農場を守る、お父さん一人を残して…
海辺の土地は、水と緑にあふれていた。でも、Annaには、広い大草原が恋しくてたまらない。
本当にもう一度、あの大草原に帰れるんだろうか? もう一度、お父さんに会えるんだろうか…
お父さんとSarahが結婚して、幸せな暮らしがはじまるはずだった夏。
でも、大草原の自然は厳しい。
口下手なお父さんから来た手紙から、Annaがお父さんの気持ちを汲み取るところに、じんわり感動しました。
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