人を愛するってことは難しいようで案外そうではないもかもしれない。もっと素直なものかもしれない。そんなことを考えさせられる本でした。ちょっぴり古めかしい文体でするすると引き込まれて読めてしまうのですが、それでいて時々ぎくりとするような言葉があったりして。読んだ後、ひりひりする様な作品でした。ブランドのお洋服等、知っていないとわかりにくい部分は多々あるかと思いますが、それらの出てくる意図さえ分かれば、作品自体を楽しむのに差し障りは無いと思います。実際、私もあまりくわしくありません。「世界の終わりという名の雑貨店」は男女の純愛。表題作「ミシン」は女の子の同姓に対する淡い憧れを描いた作品ですが、「すき」という気持ちは友情・恋愛の甲乙無く、全て同等のものなのだと思います。はっきりと、好き嫌いの分かれる作品とは思いますが、誰にでも一度は読んでほしいと思っています。
前号の「神様のカルテ」の櫻井翔に引き続き、今月号は「僕たちは世界を変えることができない」の映画化の主演の向井理が表紙。別に二人とも嫌いなわけではないんだけど、映画の宣伝は別な媒体でやって欲しかった。
文庫判の月刊の文芸誌であるこの雑誌は、今まで、あまり小説以外の記事はほとんど載せることはなかったんだけど、先月号からその路線を変更したのか、映画の宣伝を載せるようになった。出版社が映画の宣伝をしてはいけないなんてことはないし、今までの読者とは違った人たちもこの雑誌を読むようになること自体は悪いことじゃないけど、この雑誌の良さが消えてしまう気がする。一本でも良質な小説を掲載したほうがいいのでは?
なんてことを言いながら、今月号も楽しめた。嶽本野ばらの新連載「破産」も面白かったが、夏川草介の「神様のカルテ3」も良かった。なかでも先月号から連載されている笹本稜平の「遺産」の展開は目が離せない。それと毎号楽しみに読んでいる飯島和一の「狗賓童子の島」は、いよいよ明治維新へと突入。これから、どうなるんだろう?
野ばらちゃん2007年から2010年までの40篇余のエッセイをまとめたもの。 野ばらちゃんがツイッターを始めて、私もフォローしていますが、アニメに傾倒しAKB48に傾倒し、ちょっとついていけない!と思ってはいたのですが、このエッセイ集を読んで、やはり野ばらちゃんは野ばらちゃんだ、これからも読者として読み続けようと心に決めました。
特に#25「嶽本野ばらが、好き!」#37「個性が大切」には励まされました。 誰しも個性というものは持っていますが、それを最優先して生きるというのはなかなか難しいものです。学校、会社など集団の中でうまくなじめないなーと思っている方はこの2篇は特に読むことをお勧めします。
野ばらちゃんはその個性を最優先にしてこれまで生きてきて、それがとても自由で楽しかったし、これからも今まで通りそうやって生きていくと述べています。自由なれど、さまざまなリスクがあり、それを1人で背負って生きていくことになるのですが、本当に自由に生きることの楽しさ、その裏のリスク、そういうことを身をもって読者に伝えてくれる作家さんです。こんなに素直に正直に読者に語りかけてくれる現代作家さんを私はほかに知りません。そう、太宰治のようにカッコ悪いとこも隠さずに、けれどとびきりの美意識に従って生きていこうではないか!
文庫判の月刊の文芸誌。ここのところイケメン俳優の表紙が続いたが、今回は堀北真希。映画の宣伝だが、この路線はずっと続くのかな。一本でも小説を増やして欲しいんな。まぁ、毎回同じことを言うのはやめよう。
今回から始まった「文庫グランプリ2012」のベスト40が発表が掲載されている。全国の書店員114人が厳選ということなので、内容は信頼してもいいのかもしれないけど、1位が自社が出している夏川草介の「神様のカルテ」とは...ちゃんと読んでいるわけではないので、私自身も評価できるわけではないけど、第1回から自社の作品を1位にしてしまうというのはどうなんだろうね。公正さを疑うわけではないけど、そもそものこの賞の創設目的から疑われてしまうかもしれない。書店員が選ぶってのもどこかで聞いたような話だしね。
さて、今回面白かったのは、大正時代の北海道の百貨店開店の話を描いた小路幸也の「オールディーズ・ロマンス」。まだ話は序盤もいいところだけど、かなりいい出だし。
私とアマリリス。
アマリリスを最初に聴いてしまったのは忘れもしない、20歳の記念に行った小倉駅前映画館で見た成人向け映画。ドキドキしながら入った映画館でこれまたドキドキするような音楽を耳にしてしまった。女の子が夜の街を足早に徘徊する中「おとうさぁーん、おとうさぁーん」と妖艶な歌声。映画の内容も飛んでしまえば、映画館でゲイの方に襲われそうになったことも飛んでしまった。「あの曲はいったいなんだ?」、今のようにwebなど存在しなかった当時、その曲の情報を得ることなど100%無理に等しかったが、たまたまパパイヤ・パラノイア目当てにレンタルした「ギャルズ・パラダイス(宝島社)」なるビデオ、この中でその「おとうさぁーん♪」に近い曲を発見したのだ!曲調は違うが明らかにアノ映画館で聴いた曲、それがアマリリスの曲だった!しかし、そこまでわかったものの、こんなクソ田舎でアマリリスのCDを購入することなんて100%無理に近かった。が、たまたま観光で訪れた東京神田のCDショップ(もうちょっとまともなトコを観光すべきか?)で今作の前身とも言える「アマリリス名曲大全」を発見したのだ。当然迷うことなく購入。そして約20年前に買った名曲大全が「名曲大全集」となって発売されたのだ!
内容?そりゃもちろんイイに決まっとるわ!
俺にとって「おとうさんアモーレ」をツェッペリンがパクったと思っとる。
これだけの内容でも充分なのにライナーに記載されとるアドレスに空メールしたら秘蔵DVDデータや読み物を無料ダウンロードできるURLが送られてくる。コッチも内容充分やね。
くだらんCDに金費やすな!
このCDを買いなさい!
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