簡単ではありますが初めての読者の方にあまり割れてもいけないので^_^
矢口高雄入魂の一作である。
曰く、「現在のボクにできる最高の作品になったと自負している」(P297)。
買って損はないことを私も保証できる。
もちろん一冊で『奥の細道』の全行程を漫画化できるはずはない。
著者は行程を三分割し、平泉から出羽路を選んだ。
「出羽路こそが『奥の細道』そのものであり、なかでも平泉から月山にかけて詠んだ芭蕉の句の数々は、『奥の細道』を代表する名句であり、日本人ならば誰でも知っている、いわゆる人口に膾炙した名句ばかりである。
つまり、そこでの人々との出会いや別れ、そして数々の名句が生れた背景と、それを詠むに至った芭蕉の心情を描けば、芭蕉の旅の全体をおおむね表現できるのでは、と考えたのである」(P298)。
上記行程の合間に芭蕉の前半生の物語も挿入されている。
脚本は、「キサラギ」の古沢良太なんだけど、ドラマとしてはありきたりでしたね。笑いもストーリーもはじけられず、生真面目にすぎる。 都会批判と自然礼賛がテーマなのか??? でも、それらは底が浅く、TVのスペシャルドラマのよう。
ロケ地へのこだわり、釣りの美しさといった、画作りは職人監督らしい堅実さがありますし、VFXも、いい仕事をしており、餌に食いつく魚の映像は素晴らしいです。
しかし、原作の漫画的誇張を引き継ごうとしたラストの釣りシーンと、それまでのドラマの普通さとのバランスが悪い。ドラマの部分が誇張のないテンポと調子だったのが、急に漫画的になるのに違和感を感じてしまう。たとえば、トンボに釣り針と糸を縛りつけて巨大魚を誘うのだけれど、「大きな釣り針を括り付けられて飛べるわけないじゃん」という気持ちになってしまう。これが、最初から漫画的に展開していれば、それもアリかという気持ちになっただろうし、巨大魚の造形も凄いと思えたのでしょうが、漫画らしさをイマイチ受入れられない。最初から、もっと漫画チックにガムシャラにやってほしかった。
1-5巻を一挙に読んでしまった。マタギの暮らし、文化などが緻密に描かれている。山の獣達との命を賭けたやり取り、知恵比べ、自然への畏敬、マタギ同士の葛藤など生々しい位だ。今やマタギで生計を立てる人は消え、マタギ文化も消えつつあるというが、自然を恐れながら共棲するという考え方は今こそ受け入れられるのではないだろうか?成人向けの描写もあり、子供に読ませられないのは残念だがこれも営みのうち。
続編、完結編である「マタギ」全三巻の再版を願う。
釣りキチ三平で育った世代、また、自然の中で遊んで暮らした 人にとってはたまらないエッセーです。 あとがきにもありますが、この中の話のいくつかが教科書に 採用されたというのもうなずけます。 特に、弟の死を綴った話は、文章と漫画と両方が掲載されていて、 どちらも感慨深いものです。
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