無頼派の代表ともいえる白川道の競輪日記。
それはまさにギャンブル「道」とでも呼ぶべき
美学が満載され、競輪に興味が無くても白川ハード
ボイルドが好きならきっとはまると思います。
また、競輪に関するエッセイの合間に、白川夫人である
文芸誌編集長中瀬ゆかり氏の幅広い人脈で実現した
ベストセラー作家のリレー競輪エッセイも読めて2倍お得です。
さらに、最後は本格ミステリでもお目にかかれないような
ものすごい「オチ」が・・・
思わずひぇーと叫びそうになってしまいました。
この旅行の目的はただひとつ、そこに競輪場があるから。競輪は、ほかのギャンブルと違い、賭けの対象は数字の出目ではなく、人生を背負って走っている自転車に乗った人間。観客もそれがわかっているから、自分の分身と思って夢を託し、人生を賭ける。しかし、結果は当事者の思い入れとは関係なく、勝っても負けても、非情である。レース前に完璧に構築したストーリーは、一瞬で崩れ、行く先を失ったベクトルは、周囲の人達との出会いと別れや名言、迷言、時としてフラッシュバックで蘇るエピソードへと向かう。勝負に負けた人間は、素直である。 今は昔、勝負師たちの御伽噺。
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