確かに、肩書きや学歴、財産、過去の功績は人生にとって大きな勲章でしょう。私もそう思っていました。でもこの本を読んで気が付きました。自分の幸せは自分が感じるもので、他人と比較したり、真似をしてもしかたがないことなのですね。他人から何と言われようと、今、自分が幸せであると感じることが大切なのだ、ということをこの本を読んでしみじみと感じました。
川島雄三監督作品というと幕末太陽伝くらいしか容易に手に入れることが出来ず、ケーブルテレビの番組表とにらめっこしてはチェックしていた。とりわけこの作品は原作者の井伏鱒二が気に入っていなかったためテレビ放送をすることが出来なかったいわくの作品なので、こうしてDVDで見ることが出来るのは非常に嬉しい。
内容といえば一つのアパートの奇妙な住人達が織り成すドタバタコメディーなのだが、そこには意思をもちながらも日常に流されていく日本人の姿が主人公を通して描かれている。また、本作に登場する「サヨナラだけが人生だ」は川島監督を代表する有名なセリフなのでファン待望のDVD化でもあると思う。
今では白髪になってしまった藤本義一が若い頃に師匠である川島雄三とアパートの設計図から作り上げていった作品、心して堪能したい。
藤本義一は2012年に亡くなられましたが、それから暫く時が経ち、やっと傑作集が河出文庫から出ることになりました。本書には、1:生きいそぎの記 2:鬼の詩 3:贋芸人抄 4:下座地獄 5:師匠・川島雄三を語る の5編が収録されています。 1、5:藤本さんは大学在学中から脚本家、戯曲作家としてそのキャリアをスタートさせますが、川島監督(私も大好きです)に師事し、その脚本を手伝い、大きな影響を受けます。後年、自身、川島は母港のような存在と述べ、川島への尊敬、思慕の念を明らかにしています。この時の体験を基にして書かれた小説が1で2は講演の記録ですが、この2作は表裏一体の関係といえます。川島監督は素晴らしい作品をつくりますが、その性格は相当ひねくれていて、常人には理解しがたい理不尽な性格の人でした。それは、弁慶と牛若の論争、その後のエピソードによく現れています。なお、このエピソードは1と2ではお互いの立場が変わっていて、小説風に上手く脚色されていることがよくわかります。その他、腐った鯨肉、小津安二郎のエピソード 等必読です! 2:直木賞受賞作です。実在していた二代目米喬をモデルにした小説、難しい仏教書を読む、暗く面白くない芸人が、露という伴侶を得て、さあこれからという時にその露を失います。その後、狂気とも言ってていい芸に突き進んでいきますが、その末は・・・ 3:風采の上がらない下足番の善六が、芸人に憧れ漫才師の由丸二弟子入りします。嫁を師匠に差し出したり、病気の師匠の身代わりで舞台に立ちますが・・・ 4:家庭の事情で芝居小屋の女中に奉公に出たつるが、三味線に興味を持ち春江に師事するようになります。そして、春江の忠告を無視し、下座で三味線を弾くようになりますが・・・ 2、3、4 は、上方芸人をモデルにした、藤本さんの真骨頂の芸人小説ですが、その凄まじい生き方を描いて今でも古びていません。惜しいのは1です。藤本さんは、川島監督論を書き下ろす意向があったらしいですが、それも夢と終わりました。なお、他の作品も再読したくネットで調べましたが、殆どの作品が絶版、品切れです。野坂昭如、黒岩重吾、石川達三、結城昌治、青島幸夫・・・等の作家でも同じような状態です。出版社さん何とかなりませんか!!!
最初スポーツ新聞に載ってある「日日日日」というコラムで藤本義一さんに興味を持ち本を購入しました。年配向けかなぁと思ったら、ギャグ漫画を読むぐらいに内容が面白かったです。本は飽きると読むペースが遅くなりだらだらと読みますが、この本は最後まで飽きなかった。
端唄を習って三年くらいですが、根岸 禮先生の歌の魅力には感動いたします。 これからも、日本の伝統の端唄のCDをもっと出してください。
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