筆者は僕より大分若い(1974−)、そして頭が良くて、頭が丈夫なのである。 よく養老孟司さんが東大生は頭が良いが、果たして頭が丈夫な学生がどれほどいるのか?と嘆いておられる。
筆者は子供の頃、自然の中で育ち、家の風呂は薪だったと書く。 そして、昆虫や動植物に囲まれた環境で、両親や祖父母から、地域社会の言い伝えや慣習を肌で吸い取っていく。 そんな彼はやがて獣医師を目指す、そして北大獣医、府大獣医を志望すのだが、動物の交通事故を見る事により進路を変えた。 しかし、生来の動物に対する愛情と係わりから、京大在学中に狩猟免許(ワナ)を取得して、セミプロの様な生き方を選ぶ。 京大在学中には4年間の休学を申請して世界放浪もしている(単なる放浪ではなく、民族自決のお手伝いだと認識している)。
今は運送業に従事しながら、年間を通して猟期にはワナ猟、禁猟期には川や海、そして山でそれぞれの自然の幸を採取しながら 暮らしているという。そして薪を割り、薪ストーブと薪の風呂で温まるという。 羨ましいのである。お金ではない幸福感がそこに存在する。
生かされている自分を知っている人のみが体感できるシーンを文章と写真で見せてくれます。
屠ることにより食肉を得る。そしてその行為によって我々は生きている。 その当たり前のことを当たり前に書かれているのが気持ち良い。
だから狩猟サバイバルなんて本を書いている人間とはまったく異なるのである。
前作「わたしは全然不幸じゃありませんからね!」が面白かったので レバ刺し(というかレバーそのもの)に興味はなかったが買ってみた。 いやあ〜これもすごい面白かったです。 とにかくレバ刺しが大好きでバイト料が入った日 嬉しい事があった日など記念日には必ずレバ刺しを食べ続けてきた著者。 レバ刺しをまるで恋人のような存在に捉え愛してきた著者。 そんな著者がレバ刺し禁止が法令化してしまうまで ひたすら食べ続けるという食レポ漫画です。
著者と一緒に食ロケするのは編者のKさん。 彼女は正直あまりレバ刺しが得意ではないようで ほとんどの店で 「くさい」 「食感がダメ」と言っては皿を著者の方に渡す。 たまに当たりの店がある時は感動して食べているので 嫌いではないようだが やる気をイマイチ感じられないKさんがまたいいキャラクターで可愛い。
後半では著者の友人でゲイの海くんが登場。 彼のキャラもかなりインパクト大である。 しかもゲテ物もOKというから一緒に食レポするにはかなり頼もしい存在。
愛しのレバ刺しが日本から消えてしまうまでのカウントダウンに 怯えながらひたすらレバ刺しを食べる著者の姿にはある種の感動さえ覚える。 描き下ろし収録の韓国レバ刺しレポも見ものです。 日本では禁止となったレバ刺しが韓国では普通にお通しで出て来るというカルチャーショック。 レバ刺しどころかレバーそのものが全く食べられない私でも これはかなり面白い漫画でした。 何度読んでも面白い。 噛めば噛むほど味わい深くなる漫画ですね。 でもこんなに面白いのに何故著者は売れてないのか不思議です。 未読の方、どうぞご一読下さい。
本書は、魚編(第1章、第2章計約100ページ)、肉編(第3章約60ページ)、野菜編(第4章約20ページ)、米編(第5章約20ページ)から成っている。 分量からみてわかるように、魚の表示名に関する記述が最も多いが、ほかにも、養殖に使う抗生物質の害や、残留農薬・防腐剤・薫蒸毒薬・食品添加物・放射線・遺伝子組み換えの問題や、米のブレンドの問題などなど、「食」に関する闇の部分を「これでもか」という感じで書き綴っている。 私は、読み進めるうちに気分が悪くなってきて、しばらくは食事がまずくなりました。あまり感じのよい本ではありません。
確かに、著者が書いていることは一面の真実かと思います(たぶん)。なので「できるだけ素性のわかった良い食品を食べなければ」と思うようになるという面では「良書」です。 しかし、あまりにも何もかも悪いと書いてあって、(a)「じゃあ何を食べればいいの?」と思うが、その答えがない、(b)取材源があやふやでどこまで正確か、また、どこまで普遍的な事実か不明、(c)「■■を食べて奇形の豚や魚が生まれた」のような本来科学的検証が必要な事柄が憶測で書かれている、(d)行政等の関係機関や消費者がどう対処すれば現状を改善できるかの処方箋も全くと言って示されていない、という本です。 二流週刊誌の特集記事の寄せ集めのような本なので、評価するか・しないかは、人によってさまざまと思います。 私はあまり評価しません。
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