この本はほかのハウツー本のように挿絵があまりのっていませんが 絵を描き始めた人、描きなれた人などの生の声が乗っておりかなり参考になります。 しかし、作例があまりのっていないないのでちょっとものたりないかも・・・ あと文字も多く割とびっしりです。
この本の活用術は二つある。
一つは、自分の描いた漫画のネームを、更にパワーアップさせるのに使える。 自分では完璧と思っていたネームを、この本を読んだ後に見直すと… 欠点が出て来る、出て来る。ホント、プロの編集者の代りになる。この本。
二つ目は、商業誌の漫画の、見る目が変わるという事。 プロの漫画家が、如何に読者を「俺の漫画の世界に、引きずりこんで込もうか」 という工夫が分かる。 (ただしすべての漫画が、この本の手法通りに漫画を描いているわけではない)
「漫画の参考書を読んだぐらいで、漫画家になれるんなら苦労しねぇよ!」
と思った人ほど読んで欲しい。 この本は、自分の産んだキャラやオリジナルティを、生かすために必要である と思う。
最後に「まんまんかいかい」という題名は恥ずかしい。 本屋のお姉さん相手に、取り寄せ予約の手続きできねぇよwww アマゾンって便利ですなぁ。
現在もトップアイドルとして走りつづけるKinKiKids堂本光一くんが「硝子の少年」でCDデビューした直後に主演したドラマです。突然の事故で車椅子での生活を余儀なくされた主人公和夫を当時18歳だった堂本光一くんが等身大の、そしてとても瑞々しい演技で熱演しています。ドラマは下半身付随という絶望の淵から家族や親友、そして障害者バスケットチームでの仲間達に支えれらながら、もう一度生きる希望を取り戻してゆく様を描いています。ラストシーンでは「本当の勇気とは何か?」ということに対する主人公の答えが明らかにされるのですが、とても感動的で少し切ない結末となっています。堂本光一くんのファンなら必見!ですよ。
マンガの技法書といえば、一昔前はページを開くとペンや紙の種類を説明したもの(まるで美術用品のカタログみたい!)、集中線の描き方やトーンの貼り方などを簡単に解説した程度のものしかなく、後はストーリーやキャラクターの発想法など、はっきり言って原稿用紙に向かう前に行う作業か、或いはアシスタントが行うような原稿の仕上げ・最終工程に関してばかりに記述が集中していて、後は成功した漫画家の苦労話や自慢話が載っていたりと、およそ下らない、実用性からは程遠いものばかりでした。 つまりマンガの製作工程の一番肝心な部分が、まるでドーナツかちくわのように穴の開いた状態の本ばかりだったわけです。 この本の中で説明されている視線誘導に関する説明などはその際たるもので、今までは漫画家同士の間でのみ秘匿されて来たのでしょうか(笑)? 漫画家のアシスタントにでもなって、お茶汲みや深夜のコンビニの買出しなどを一生懸命やって、その努力(?)を師匠に認められれば何かの折に教えてもらえるのかも知れませんが、生憎と私は漫画家のアシスタントの経験がありませんものですから、本書の中で説明されている事柄も今まで知らずじまいで来ました。 菅野氏自身も「基本中の基本」「てにをは」とはっきり断言しておられる事柄なのですから( しかし「てにをは」が「秘奥義」というのも凄すぎる・・・マンガ業界というのは「てにをは」すら長い間秘密にされたままだったのか・・・)、これを知らずして漫画を描こうなどというのは所詮無理な話だったのだと思います。そんな漫画技法の基本中の基本さえも、きちんと説明した本が今まで一冊も出版されて来なかったというのはまさに驚きです。「てにをは」をすっ飛ばして、道具の解説と漫画家の苦労話などに貴重な紙数を費やす既存の「入門書」にどれだけ閉口させられて来たことか・・・。私の頭の中には、「マンガの技法書=粗大ごみ」のイメージがあり、画材店に行くと売っているデッサン人形のようなものとすら考えていました。いや、現在も書店の店頭などで販売されている類書のほとんどは粗大ごみといって差し支えないと思います。ですが本書は違います。 絵を描ける=漫画が描ける、でないことは明白であり、適当な絵をストーリーの順番に従って漫然と並べただけでは、漫画にならないことは事実です。 余談になりますが、絵で物語を語るという点では映画と漫画は確かに親戚関係にあるかも知れませんが、映画により近いのは漫画ではなく、むしろアニメーションの方でしょう。映画は時間の芸術であり、1時間半の映画は誰が観ても、一時間半の作品ですし、それが人によって三十分になったり、三時間になったりはしません。アニメーションもこの点では映画と同じです。しかしマンガは明らかに違います。人によっては五分で読み終わる人もいれば、一時間かけて読む人もいるでしょう。「漫画を読む」という行為は映画やアニメーションほど厳密な時間の枠には縛られていないのです。 菅野氏は本書の中で読者が意識の中で感じる時間(体内時間とでも呼べばいいんでしょうか?)にも触れ、映画のスローモーションのようなゆっくりとした動きをマンガで表現する際に重要な点などにもきちんと触れています。コマの中に配置された絵が生み出す角度(マンガの作者によって誘導される読者の視線の動きの角度)が鋭角か鈍角かで全く正反対の効果が生み出されると指摘しています。こうした事柄に触れた技法書が今まで他にあったでしょうか? 既存の漫画の技法書があまりにも使えないので、一時期は映画のモンタージュ技法などを勉強していましたが、本書の存在を知った今となっては、もう過去の出来事です。 お話の構成の仕方を学びたければ、映画を沢山観るとか、シナリオ技法の本を読むとかいう手があります。小説家入門の中にもストーリー・メイキングやキャラクター造形について詳しく書かれたものがあると思います。本書が問題にしているのはその先・・・考え付いたストーリーやキャラクターを、「漫画」という映画でもテレビドラマでもアニメーションでも、もちろん小説でもない独特の形式=鋳型にはめ込んでゆく作業なのです。本書のタイトルは「漫画のスキマ」ですが、スキマどころではない、漫画製作の中心部分、ど真ん中、ストライクゾーンに初めて正面から触れた画期的な本ではないかと思います。 ですから、面白いストーリーが思いつかないとか、可愛い女の子が描けないとか(笑)、漫画表現以前のレベルで悩んでいる方には本書はあまり必要ないかも知れません。 本書には確かに難しい箇所もあり、一読しただけで内容を全て把握するのは無理と思われます(何せ、著者本人が後で読み返してみて、何を言っているのか分からないなどと言い出す始末ですから・・・)。マンガの描き方は禅問答とは違うと思いますので、話者が他人に言葉で説明できない・・・ということは著者本人の頭の中でも完全には論理化できていない、把握できていない、整理しきれていないということだと思いますので、それを第三者に分かれというのはちょっと無理があるのですが・・・。圧縮と開放のセオリーなどは言葉は難しいですが、平たく言ってしまえば、マンガのコマはテレビや映画の画面と違って不定形ですから、それを利用して縦長のコマと横長のコマを交互に繰り出してメリハリをつける、と言い換えても良いと思います。縦横、縦横、ジャブ、ジャブ、フック、ストレート、みたいな(笑)。まあ、紙面で展開される空間操作を「運動」として理解するということでしょうか(この辺はちょっと、映画評論家の蓮見重彦氏の映画論に似ているような・・・)。 マンガ評論家の夏目房之介氏も著作の中で圧縮や解放、視線誘導について説明していますが、夏目氏の説明の方が簡潔で分かりやすいです。マンガのコマ割りについて悩んでおられる方は一応、両者の著作を読み比べてみるべきでしょう。 自分の作品だけでなく、他人の作品を読む時もただ漫然と読み流しをするということがなくなりましし、紙面構成を解析し(というと聞こえはいいが、極端な話、H漫画を読んでいる時でも視線誘導のこととかが気になり出す)、その技法を自身の血肉にすることが可能になります。ただ読んでいるだけでは分からない漫画のからくりが一つでも分かると、あら不思議、まるで糸のもつれがするすると解けてゆくように全てが理解出来るようになるではありませんか! コペルニクス的転回とでも呼べば良いのでしょうか。 実作というプロセスを経ないで、この本の中で語られていることを理解するのは無理かも知れません。ですが、絵はそこそこ描ける、漫画にはぜひ挑戦してみたい、でも原稿用紙に向かうと何をどうやればいいのか分からない・・・そんな貴方にぜひお薦めの一冊です。
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