JFKが暗殺された時代の「新生ボストン」の奥にある深い闇を描いた作品である。スペンサー・シリーズやデニス・ルヘインの舞台となるボストンとはまったく異なる街が浮かび上がる。むしろエルロイの雰囲気を漂わせ、アメリカの暗部を抉る、クライム・ノヴェルである。シャドウではなくもっと暗く深い闇である。ボストン絞殺魔とマフィア、それに関わるアイルランド系家族をめぐって物語は展開するが、すべてが行き所のない破滅へと向かい、誰一人として救われていない。復讐は成就しても結局は重い荷物を余分に背負うだけの結果にしか終わらない。「最終楽章」ではその思いがさらに募る。重い読後感しか残らない。筆力以前の問題として、作者は読者に何を伝えたかったのか分からないままに、読了することになった。
デビューから3作目、ストラングラーズのパンクバンドとしての頂点を極めた瞬間を刻んだ傑作だと確信しています。しかし!しかしですがアルバム本編(12曲目まで)も去ることながらボーナストラックとして14曲目に収録された「Walk On By」のなんと素晴らしい事か!。調べてみるとこの「Black & White」の初回盤7万5千枚にオマケEPとして「Mean To Me」と「Tits」(13曲目と18曲目)と共に収録されており、当時のUKシングルチャートでも21位とスマッシュヒットした曲のようです。 この「Walk On By」は元々、64年にディオンヌ・ワーウィックという人が全米トップテンヒットさせた曲で、他にもシンディー・ローパー等様々なアーティストがヒットさせている全世界のあらゆる世代に親しまれているポップソングのようです。(僕自身ストラングラーズのカバーを聞くまで知りもしませんでしたが・・・) そして肝心のストラングラーズのバージョンはというと、原曲の上品な雰囲気を度外視、ほとんどオリジナル曲といってもいいようなロックバージョンに仕上がっており、モロにドアーズの「Light My Fire」を意識した(というかこれがやりたかっただけなのでは?というぐらいの)曲の半分以上を費やすこととなるキーボードとギターによるウットリするようなスリリングなソロを披露しています。デビュー時からパンク世代のドアーズという声もあり、曲の随所にドアーズからの影響を見ることができましたが、ここにきてドアーズ愛を爆発させたといったところでしょうか。 とまあ、長ったらしく拙い文章でこの「Walk On By」への愛情を起こしてみたわけですが、是非ともUKパンクファン、ドアーズファンにとどまらず全てのロックファンに大音量で聴いてもらいたい一曲なのです。
かなり抜けてる私立探偵スタンリー。今回は、行く先行く先で、死体からの相談以来を受けてしまう?いったい誰が、彼の仕事の邪魔をしてるんだろう。足りない頭をフル回転して、自分の無実を立証しようと立ち回れば立ち回るほど深みにはまる面白さ。
キーボード奏者の居るパンク・バンド。この事実だけで既に彼等の異端ぶりが判る。何から何まで全く統一が取れていないメンバーも、「格好悪い」=「実は格好良い」という一ひねりが理解出来ないと中々耳が受け付けない。他の多くのパンク・バンドが飛び散り系なのに対し、 音的にはかなり内向、もしろニューウェイヴに近いが、精神的には確りとパンクだ。英国万歳。
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