ミレーユ・ダルクって人はアラン・ドロンの愛人だったと言う以外には殆ど印象のない女優だったがこの作品を観てそれを再認識。 取り立てて美しい訳でも無く、かと言って演技派でも無いボブカットの良く似合う金髪の2流女優としか思えない(ファンの方、スイマセン)。 今作では精神を病んでいる謎の女性を演じている訳だが、何時も無表情、悪く言えばボーっとしているだけできめ細かい感情表現は全く出来ていません。 その上今作の主人公(クロード・ブラッスール好演)は軽薄で非常識、ハッキリ言って唯のストーカーにしか見えないとあって最後まで感情移入出来ず。 しかしラストでは見事に主人公がピエロと化していたを観て、溜飲下がる思いをしたと言う事は多少は感情移入出来ていたのかも。
サスペンス作品なのでストーリーについては申しません。 「夜の訪問者」「激突!」「ヘルハウス」などの作家リチャード・マシスンの原作ですが、映画について言えば前述の作品群と比べてサスペンス度はグッと落ちます。 ミレーユの演技が稚拙なので、彼女が演じるペギーの謎の行動やペギーに降りかかる危険などで本来は緊迫感増すはずなのに一向に盛り上がらず。 登場人物には胡散臭そうな連中が沢山居るのに、思わせぶって登場するだけで生かし切れていない。 まぁドロンとミレーユの私生活を公の場で見せてくれているのかなと。素のままではシラケてしまうので、サスペンス仕立てにしましたと言う感じでしょうか。
そういう意味ではドロンのミレーユに対する一挙手一投足が演技とは思えないくらい非常に愛情こもっているよう感じます。 物語の設定上、ドロンとミレーユのベッドシーンが無いのは当然なんですが、今作では2人の関係が正にプラトニック。ホンマに良い雰囲気です。 配給会社の東宝東和が付けたこの邦題はとても洒落ていると私は思いますね。
最後にニコレッタ・マキャヴェッリですが、「十字架の長い列」から5年経っているだけで更にオバちゃんになっているのには驚き。 夫から完全に無視されている気の毒な役柄ですが、撮影当時27歳とはとても思えない...
主演のA・ドロンとM・ダルクは、当時愛人関係にあって、二人が共演ということで話題になったサスペンス映画。 ペギー(M・ダルク)は、冬のフランスのニースの海岸を散歩中に、TVドラマの脚本家と出会う。脚本家が書き始めた作品の、ヒロインのイメージにぴったりのミステリアスな女。彼は、ペギーを取材したくて近づいていくが、知れば知るほど、彼女には、何か大きな秘密があるらしい。 ペギーを擁護して、愛人関係にあるのが、一流弁護士のA・ドロン。 ドロンが、おそらく日本の某紳士服のイメージキャラクターとして、連日、CMに出ていた頃。濃紺のスーツ姿が、美しすぎた。 M・ダルクは、この映画の中でスレンダーなオールヌードを披露している。 この作品、M・ダルクの魅力を見せるために、ドロンが企画したのかわかりませんが、どうしても私はドロンの方に目がいってしまいました。
続きモノなんですね、これ。
この本はシリーズの第一巻という位置づけのようで、なんとも切ない、際どいところで終わっております。 後半になってもちっとも展開しないし、終わりの終わりになって智之が出奔しそうな雰囲気だし、いろんな過去が明るみに……のところではい、終わり。
ということで、このあとの展開がわからぬのに評価もなんなんですが、ここまでは面白く、そしてまず切なさ爆発でした。 主人公(受)の智之の生い立ちや、これまでの過去や、自分を押し殺してきた人生が悲しくつらく描かれていて、それをどうにか救ってあげたいとする攻の高島の保護心とうまく合間ってます。 まあその高島にもそれなりの過去があり、二人の過去がリンクしていくところがポイントなのですが、ありがち設定ながらそこまで鼻につかないのは、きっと事実というものが最後にちょろりと出てくる程度にとどまっているからだと思います。
予想できるようでできないのも面白かったし、二人の微妙な年齢や、二人の間に割って入ろうとする高島の知り合いの存在も別味を添えてくれています。 まだもやっとした部分を多く残して終わっているので、次巻が出てからまとめて読んでもよいと思いますが、どちらにしろシリーズとして読んでみて損はないと思いますよ。
三部作がこの本で完結しましたが、全体を通して愛憎と恋愛を中心にとても読み手のツボをついたお話だったと思います。 こういう長編になると、話の視点が仕事だったり事件だったりということにずれて行きがちですが、このストーリーは恋愛が始終メインにおかれているのもよかったです。
お互いが実は恨む側と恨まれる側だということがわかった上で、愛人関係となった智之と一成。 お互いに本当は好きなのに、一成は過去の事実がその感情をさえぎり、智之はそんな一成でも好きだから彼のいうとおりにしてしまう。そして自分という存在自体に苦しんでいる一成を見て、智之は好きであるが故にとある決断を下す。
これまで謎の部分だった過去や祖母との関係もすべてが明らかになり、ようやく読者としても読みながら霧が晴れた気分になりました。いろんな関係が修復されていく中で、智之が自分の進むべき道を決めて、自分自身を見つめなおす展開は、なかなか味わい深かったです。
また一成との関係も、段階がいくつもあり、そのたびに二人の関係が根底は同じだけど変わっていくところが現実味がありました。
全体を通して意外な展開というわけではなく、ある意味まあ予想はできる範囲でのストーリー展開でしたが、だからこその密度の濃さと深みがあったと思います。
一つ気になったのは、ラストの終わり方。ずっと丁寧に書かれていた分、微妙に尻切れ的だった感じがしました。 その分後日話がついていて補完はされているのですが、その尻切れ感に星4つとさせていただきました。
一気に三冊まとめて読むのもオススメです。 最初と途中、そして後半で一成ががらりと変わり雰囲気が違って面白いです。 逆に終始一貫して態度が変わらない智之の態度にも味わいがありました。
好きだけど負い目がある。 打ちあけたら最後、確実に関係は終わる。 打ち明けなければ嘘をつき続ける。 智之(受)の微妙な綱渡り的感情の動きが、細かく丁寧でした。
まだまだ続きそうです。 シリーズとなった「愛人関係」第2巻。 ついに物語の中核にたどり着いたという感じで、面白くなってきた!ってとこで終わってます(苦笑)
愛人という意味は本当はなんだったのか。 一成が密かに考えていたことはなんだったのか。 全てのことが明らかになり、新たな、でも本当の意味での、2人の関係が智之の前につきつけられる。 1巻や2巻の最初のような甘い普通の恋愛雰囲気はなくなって、怖いぐらいの負の感情が一成からにじみでてきているところが読みどころ。 1巻とはまったく違う本を読んでいると錯覚するぐらいカラーが違い、2人の関係の微妙ながら確実な移り変わりが面白いです。
だた、少し最初智之が悶々としてたるい感じがしました。
でも1巻の評価でも書きましたが、全部終わってから読みたい読者は待って最後にまとめて読んでいいと思います。
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