文章が固く、難しい漢字や用語を使っているので読みにくさは否めませんが平安時代の東北に実在した東日流国という国に興味を持つのに良い本でした。 昨年の大河ドラマでクローズアップされた平泉然り、東北は豊かな国だったのですね。こういった事も学校の歴史の授業で教えて貰いたい物です。
表題については難儀しているのを今年も感じます(実録怪談集のタイトルを残しているのが百物語からの繋がりを感じさせますが)。
今年の収録話数は37話です。前著霊は語りかける―実録怪談集 (ハルキ・ホラー文庫 ひ)と同様1話1エピソードのものもありますが、1話数エピソードのものが多いです。 今回は珍しく慰霊の地に肝試しにでかけ不遜な行為をしてから何度も事故に逢い遂には悲劇的な最後を迎える第31話「ばちあたり」のような話もあるものの、基本的には不思議な出来事を脚色も解釈も加えずに紹介してゆくスタイルは従来のスタイルを踏襲しています。
今年の作品には肉親や親しい友人を失った後に起こった不思議なエピソードを遺族が故人に結び付け癒しを得るというエピソードも多い様に思います。しかし、これは「あとがき」に述べられているように筆者がたどり着いた心霊現象の持つ重要な意味に関わりがあります。 (「あとがき」には少し残念なお知らせもあります。それをレビューの表題に反映させました)
正直あまりぞっとする話は多くありません。従って筆者の過去の作品をぬるいと感じた方の評価は低いと思いますし、その方にはお勧めできませんが、私は筆者のスタンスが好きですので、この評価にさせて頂ます。
平谷美樹の凄さは「義経になった男」や「風の王国」などで感動したが、この本も見事なまでに義経伝説を題材に展開するストーリーに魅了された。
|