雑誌掲載時は既読、単行本の副題が当時の題名。 大人漫画誌の漫画サンデー(実業之日本社)にて掲載された本作、紆余曲折の末に別の出版社(小学館)から単行本化。 幼い頃に両親に見捨てられ、更に弟とは死に別れ、そして掴んだボクサーとしての夢も、ある事件から挫折してしまった主人公の『弐戸』。 日々無気力に生きるだけの彼が、弟の面影を持つボクサー青年との出会いから、再び生きる情熱を取り戻すが…、というあらすじ。 他の登場人物として、ヤクザの親分や兄貴と舎弟、ボクサー青年と対戦相手の所属ジムの面々、腹黒なボクシング会長など大人漫画らしいキャスティング。 あらすじだけ見ると、大人向け漫画として割と普通なお話ですが、本作が特に印象的に感じるのは登場人物が全て、擬人化された猫である事。 これにより作品の総評は寓話的と言うか、大人のメルヘンといった感じで読めました。 また、ストーリーに絡むキャラの『死神』がいかにもなルックスな事もあり、読後感は良い意味でスタジオジブリのアニメのよう、そんな印象を持った作品でした。 ただ主人公のラスト、もう少しハッキリ描いた方が、読者には分かりやすい気もしますね。 (一応、バッドエンドではありませんよ) ちなみに併録の短編、単行本化に合わせての描き下ろしで、内容は主人公の少年時代のエピソード。
私は原書のシリーズをすべて読んでいる。 文章(原書)のほうでは、業を背負った暗い表情の狂四郎の姿が 常に浮かんできて付きまとう。それは、ときに読んでいて、せつなく 苦しくなるほどだが、コミック版では(やはりマンガなので)狂四郎は、 いつでもとっても精力的で明るく、カッコ良く頼もしい。
そして、原書では決して感じることができなかった、お茶目な部分 もコミック版では演出されているので、何か救われたような気分にも なった。
読み終えて、やはり原書の魅力にはかなわないものの、コミック版 もあり、だと思えた。
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