戦後イタリアに偉大な足跡を残したグラフィック・デザイナー、マックス・フーバー(1919-1992)の作品集。出版元は英国のファイドン・プレスで、2006年に上梓されたハードカバー版をペーパーバック化したものだ。フーバーはスイスに生まれ、戦前に商業デザインの世界に身を投じた。頭角を現すのは戦後のミラノにおいてであり、書籍のカバーアートを皮切りに、様々な商業デザインを手がけていく。彼が敗戦国イタリアの首都にあって成功を得たのは、おそらく二つの優れた才能による。一つは持ち前の幾何学的センスで、特にタイポグラフィに対する美意識は、同時代にあって抜きん出たものである。彼のもう一つの才能は、仕事に対する嗅覚であり、とりわけ戦後復興期に多くの投資が行われた工業、そして大衆が渇望した娯楽分野での活躍が目覚ましい。前者は石油資本などの企業広告に、後者はテレビ・ラジオという放送メディアの広告とレコードジャケット(彼自身が愛好したジャズのものが多い)に代表される。フーバーの仕事は、大規模な制作予算を要する商業デザインよりも、比較的低予算で実現可能なものが多い。タレントを起用した派手なキャンペーンなどとは無縁で、限られたデザインエレメンツを効果的に配することで、最大限のアイキャッチ効果を得る手法だ。本書ではそうした彼の仕事ぶりを、膨大な作品群によって知ることができる。全体として3部構成、合計12の章で構成される内容については、ハードカバー版のリンク先に「なか見!検索」があるのでそちらを参照されたい。ちなみに本書のカバーデザインはフーバー自身の手になるもの。これが「1971年の個展のための仕事」と聞いて驚かない方には、さらに初期の作品を見ていただきたい。やや古典的な肌合いを持つポスターなどに踊る文字は、現在でもポピュラーなフォント(書体)が多用されているのだが、その多くは手描きで起こされたものだ。後に主流となるフォトタイプセッティング(いわゆる「写植」)も、現代のコンピュータで扱うデザインツールも無い時代だから当然なのだが、フーバーのタイポグラフィに対する鋭い感覚の裏には、きわめて地道な作業の積み重ねがあった。その作業の様子を写真で見るだけでも、本書を手にする価値はあると思う。フーバーは紙媒体を主とする商業デザインの世界で声望を得たが、もし彼が米国に移住し、ハリウッドで映画タイトルの仕事に就いていたら、より大きな成功を収めたことだろう。同時代の映画タイトル作家でいえば、ソウル・バスよりもモーリス・ビンダーにごく近い。あの「シャレード」のリズミカルなアヴァンタイトルを愛する方であれば、本書にみるフーバーのデザインにも心惹かれることだろう。本書をデザイン関連の仕事に就く方、デザイン物品を愛する方すべてにお勧めしたい。
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