本書がどれほど凄い仕事であるかを説明するのは難しい。しかし現在、日本が 直面している財政の危機的状況に一つの(そして長期的視点に立つとき、おそら くこれ以外ないであろう根本的な)解決策を提示するものとして、本書の意義を 称揚して過ぎることはないと思う。 これまでも「国家財政にも企業レベルの会計を」という無邪気な意見はあった。 だが現状の会計システムでは「公」をフォローすることは難しかったと言える。 それは勘定項目や勘定連絡が企業会計と公会計では大幅に異なること、発生主義 と現金主義の差異といったテクニカルな問題が解決されていなかったことなどが 大きかった。本書の最大の特徴は、その一々について、きちんとした概念設計を 行ったことである。公会計は著者のフレームワークによって、はじめて議論の出 発点を得たと言っても過言ではない。 結論はまだ無い。ゆえに、本書を読む上で多くの異論反論が現れることが予想 される。ただ、財政をめぐるすべての議論の前段に置いて欲しい一書である。構 造改革などと言っても、最終的には曖昧模糊とした「落としどころ」に寄ってし まいがちな日本で、甘えを許さない理論とツールを打ち出してきたのが元大蔵官 僚というのも面白い。その著者が公会計を「国家と国民のコミュニケーションツ ール」と捉えていることに信を置きたいと思う。
「公会計」って何?と思って読んでみました。 税金って、政治家と役人が使いたい放題って印象だったけど、 この本にある「国ナビ」(カーナビじゃなくて「国」ってとこが スゴイよね)がちゃんと導入されれば、誰でも、今何のために いくら税金が使われてるかすぐにわかるらしい。それなら、 大事な税金、勝手なことされずにすみそうだよね。 ちょっとトッツキニクイのが難点だけど、いざ読み始めたら これはすごいかも!と思ったのでおすすめしまーす。
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