「エジプト十字架」以後、「アメリカ銃」と本書、その後の「チャイナ橙」「スペイン岬」と奇抜な設定の作品が続くが、本書はその中でも最も変り種といえるだろう。 まず形式的には国名シリーズ唯一の「クローズド・サークル」ものにして、唯一「読者への挑戦状」を欠いている。 さらに、シャム双生児や「骸骨」というあだ名の召し使いの登場、舞台の山荘にも怪奇なイメージがつきまとい、極めつけは山火事に四方を囲まれるという極限状況にある。
本書ではそのような状況において、警察や科学捜査の手を借りられない中、エラリーは唯一の手がかりである被害者が持っていた「スペードの6」のカードから、純粋推理で犯人探しを試みる。 しかし、その推理は解釈の仕方によりどうとでも取れるものであり、本書に限って「読者への挑戦状」が付されていないのも、おそらく推理に隙があるのを作者も承知していたからだろうと思う。
本書の魅力は中途半端な推理よりもむしろ迫り来る猛火による極限状況の中のギリギリのサスペンスにこそあり、そういう点で国名シリーズの中で最も面白い作品といえよう。
スピード感とシンフォニックな音響の絡まり合いが、 ビリー・コーガンの狂気と哀しみと心の叫びに混ざり合い 美しいハーモニーと成り、昇華されてゆく様に感じました。
「エジプト十字架」以後、「アメリカ銃」と本書、その後の「チャイナ橙」「スペイン岬」と奇抜な設定の作品が続くが、本書はその中でも最も変り種といえるだろう。 まず形式的には国名シリーズ唯一の「クローズド・サークル」ものにして、唯一「読者への挑戦状」を欠いている。 さらに、シャム双生児や「骸骨」というあだ名の召し使いの登場、舞台の山荘にも怪奇なイメージがつきまとい、極めつけは山火事に四方を囲まれるという極限状況にある。
本書ではそのような状況において、警察や科学捜査の手を借りられない中、エラリーは唯一の手がかりである被害者が持っていた「スペードの6」のカードから、純粋推理で犯人探しを試みる。 しかし、その推理は解釈の仕方によりどうとでも取れるものであり、本書に限って「読者への挑戦状」が付されていないのも、おそらく推理に隙があるのを作者も承知していたからだろうと思う。
本書の魅力は中途半端な推理よりもむしろ迫り来る猛火による極限状況の中のギリギリのサスペンスにこそあり、そういう点で国名シリーズの中で最も面白い作品といえよう。
|