定価(5万台)だったから迷ったけど、数日後見たら値引きされてて 4万切ったから迷わず購入。 02もセットでコレなら値打ち感ありやね。 変なプレミア付く前にゲットしよう!
追記: 02は要らないという意見が多いですが、続編で後日談が語られているのは個人的には嬉しかったです。 元々パラレルな世界の話でもありますし。 細かく見れば矛盾もあるかもしれませんが、複雑な設定を上手く纏めているのでは? 見終わったあと空虚な感覚なのが1、後日談まで見てふぅーやれやれ感なのが2でしょうか... 感じ方は人それぞれなので、参考までに。
刊行されたときに直ぐに買い求め、ジックリと読んだ本である。著者は戦後最高の日本の作家で、小説以外に史伝を書いたが、この本はその最後のものである。 私は中村さんの小説集成を持っており、耽読し、エッセイ等も集めて愛読しているが、畢生の大著となると、本書に止めを刺す。中村さんの憧れていた所謂サロンというものが江戸の爛熟した文明に存在したということが説得力を持って語られている。博識な中村さんらしく、読んで楽しいし、かつ見事な文体をもって鳴る中村さんらしく非常に読み易い。 昨今の日本には彼のような作家が存在せず、そのことが淋しい。
これは、著者自身が若いころ受け取った手紙で、長年これが実は恋文だったことに気づかなかったという体験談が10ページ目から11ページ目にかけて書いてある。表面的な意味はわかっても、その奥の真意はつかめないことがある。そこから、文章論がスタートする。解説は、きわめて平明。
さまざまな文体。いきなり、ユリシーズ(ジョイス)の大胆な和訳が登場するかと思えば、山路愛山、ツルゲーネフの明治時代の和訳、二葉亭の浮雲、円朝の落語、花袋の布団、鏡花の歌行灯、..... 少し省略して、三島の宴のあと、などなど。
こうして見るうちに、文語と江戸の話し言葉の乖離、言文一致運動、口語文の市民権獲得、翻訳文、文体実験の歴史が自然に了解される。文章読本の形をとった近代文学史としても異存はない。
欲を言えば、宮沢賢治をとりあげなかったこと。著者は音痴であり、音韻的文体論は手に余ったのであろう。草野心平はどうなのか。やや不満が残る。ましてや、筒井康隆の「バブリング創世記」は、理解の外であろう。
中村さんの名著の一つだろう。蠣崎波響という人は松前藩の家老で、画と漢詩に長けていたが、メインは政治であり、松前藩の復活の為に力を尽くした。しかし、その後の明治維新を考えると、彼の今日に於ける価値は画と漢詩にあるといえよう。この本は図版も綺麗で、とても好い本であり、江湖にお薦めしたい。
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