連合赤軍のメンバーとして、12人にも及んだリンチ殺害と、その後のあさま山荘事件に立ち会った著者が、当時を振り返る貴重なドキュメント。これまでにもメンバーの永田洋子、坂口弘、植垣康博らによる著作があるが、彼らが指導部の立場にあったのに対し、本著の加藤氏は高校を卒業したばかりの一兵士であり、被指導部の立場にあった。実兄がリンチによって殺害される現場にも立ち会っているが、当事者というよりは、一歩離れた位置、客観的な視点から異常なリンチ殺害の成り行きを描いている。 著者は連合赤軍とオウムの類似性を否定するが、イデオロギーと宗教というパッケージの違いはあるものの、社会から遊離してリンチ、無差別殺人へと突き進んでいくベクトル、その本質に共通する部分を見ないわけにはいかない。「政治的な内容はともかくデモは心躍った。」「自分がそこに存在しているという感覚を味わうことができた。」といった著者の素直な告白が、その本質とは何なのか?のヒントになるかもしれない。20名程度のメンバーが“総括”の名のもとに1人、2人とリンチ殺害を受け、最後には12人が命を落としていく様はあまりにも異常だ。加速度的に客観性が欠落していく様子がよく伝わってくる。 連合赤軍には関心があり、先に挙げたメンバーによる著書や、大塚英志の「『彼女たち』の連合赤軍」、坪内祐三の「一九七二」も興味深く読んだ。しかし警察の側に立って書かれた佐々淳行の「連合赤軍『あさま山荘』事件」などはあまり読む気にはなれないのだ。 事件自体は異常なものと認めながら、他人事とは思えない、もっと言い切ってしまえば憧憬めいたものを感じる部分がきっと私自身の中にあるのだ。
せっかくデジタル撮影なのでDVDだけでなくブルーレイも出して欲しかったので満足。 日本の左翼運動はこれで終結してしまったのかな。 思想云々はともかく、これだけ凄い映画は現在の日本映画界にはなかなか存在しないだろう。 すっかりテレビ業界に毒されてしまった日本の映画界に、「映画とは何か?」を 再定義する意味でも素晴らしい作品だと思う。
あさま山荘事件と言えば、鉄球で小屋を破壊していたぐらいしかよく知らなかったが、それ以前にこれほどの惨事があったとは・・。「総括」という名の下に集団リンチ殺人が行われていたが、このような暴力は特殊ではなく、異常な環境により不安定な精神状態に陥った閉鎖空間内の集団ではよくあることである。 軍隊はもちろん、宗教団体、はては学校においても優れた指導者がいないと暴走し、自分に矛先が向かないようにイジメは過激化していく。この映像を見て他人事で看過できるか、自分がこの状況下におかれた場合、同じ行動を取らないと断言できるか?集団になると人間は没個性化し、常識が薄れ、凶暴性が加速されることは心理学的にも証明されている。個人が暴走化した集団に抗う術はなく、理性があるうちに逃げるしか手はないだろう。確かに映画でも脱走者は出ている。なぜ殺された革命分子達は逃げなかったのだろうか?思想にどっぷり肩まで浸かっていたのだろうか?逃げても社会に居場所はないと思っていたのだろうか?それでも凄惨な処刑に比べたら、どんなところも天国であろうに・・。 ラストで描かれるあさま山荘事件の描写では外部の状況、警察の包囲・突撃の模様などは一切描かれないが、逆にそれもリアルである。
連合赤軍を読みこんでる人も、そうでない人も楽しめると思う。自分には中盤、中だるみした感じがしたけど総合的には楽しめた。他の本には書いてないこともあったり色んな発見もあったから読んで良かった。
絶句。 フードブレインの唯一のアルバム『晩餐』も凄いけどこれにはかなわない! これ、ほんとに映画のサントラですか?
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