こんなすてきな言葉を子どもたちに残して、インドに行ってしまったすみれちゃん、というのはいったいどういうせんせいだったんだろう。会ってみたいなあ。息をつくまもなく読み終えたときの素直な感想です。足元の地面がすとんとぬけて、下に何もない、そんな孤独を感じたことがある人なら、この物語の世界にすんなり入っていけるでしょう。誰もがひとりで何とかやっていかなければいけない。でもだからこそ、ときどき手をつなげる人が必要だ。とても、単純で大切な忘れかけていたことを思い出させてくれる物語です。
アニメ「カラフル」、原作は森絵都さんの小説で、とても良い作品です。価値観は人それぞれですが私の中では最高傑作。ストーリーは、簡単に言うと大きな罪を犯して死んだ魂が、再挑戦という形でもう一度生きるチャンスをもらい、自殺した絵の上手いいじめられっ子の真という中学生の身体に入って、人生の修行→ホームステイを始めるというもの。
私は宅配レンタルでDVDを見て、翌日Amazonで購入、既に10回は見ましたが、毎回涙が溢れます(^_^.) 暇さえあれば見ちゃうな(^^ゞ 音も絵もストーリーからキャストまで、全部気に入ってます。声優なんか誰でも構わない、あまりに作品を傷つけなければ気にしないんですけど、この作品は声優さんも合ってたんじゃないかな?好みですけど。自分はアニメが大好きで、最近はレンタルばかりでしたが、数年ぶり、いや十年ぶり位でDVD購入しました。
実は私は弱視なので色とかよくわかりません。写真は撮りまくってますけどね。でも人生はカラフルで良いという言葉が染みました。一つの色じゃない、人は汚い色も綺麗な色も持っている、カラフルで良いという言葉が心にじんわりと染みてきます。
私も子供の頃は絵が上手かったみたいで、アトリエとか通ってました。でも風景画とか描けないんですよね。小さい頃は何でかわからなかった。でも20歳で障害者手帳をもらって確信した。遠くが見えてなかったんだ。色がわからなかった。だから鉛筆画とか模写は得意だったけど、色彩画や風景画は一切描けなかったんだ。それで筆はとらなくなった。
まぁそれはそれでいいんですけどね。主人公の真には美術部での自分の静かな時間だけが救いだった。自分は中学のときはサッカー部だったけど、ドリフトとか個人技は出来ても練習試合には一度も出してもらえなかった。まだよくわからなかったけど、見えてなかったんだね。敵と味方の区別がつかない、ボールがどこに飛んで行ったのかわからない。でも好きだから続けてた。というか、恥ずかしいけど、多分、友達と離れたくなかったんだと思う。部活って凄く大事な時間だと思う。自分が16歳の自分に手紙を出せるなら帰宅部だけは辞めさせたかったな。
結局、中3になって受験でサッカー辞めてから高校・大学と帰宅部で、登下校も昼休みも一人だった。真みたいにいじめはなかったけど、その頃は読書と映画だけが自分の世界、目が悪いことでいろんな誤解や偏見には小学校の頃から慣れていたけど、この頃には人間不信にまでいってたかも。というより、何故自分は他の人と同じ様に出来ないんだろう?同じスピードで動けないんだろう?ある日、何もかも嫌になっちゃった。
それで大学では2年休学して、自分を見つめ直した。色々あって運良くここから人生の転機が始まったんだけど、それはまた次があれば書きます。話飛びまくりで申し訳ないんだけど、真が最後に家族との晩餐で高校進学について話し合うシーン、みんなが自分の為にどれだけ考えてくれているかを知って、それでも初めて出来た友人との約束、一緒の高校への進学を望んで、初めて胸の内を明かして泣くシーン、何度見ても泣いちゃう(^^ゞ
挿入歌も良いよね。まずイメージソングでmiwaの「僕が僕であるために」、あの尾崎豊の名曲。サントラには入ってないみたいだし、配信だけ?CDにして欲しいな。凄く良いです。あとAngela Akiの「手紙 〜 拝啓 十五の君へ 〜 」が音楽室の合唱として流れてくるのがまた良いんだ。エンディングテーマはmiwaの「青空」、ブルー・ハーツの名曲ですね。これも良い。てかmiwaって知らなかったんだけど、透明感があって良いですね。
そして真の絵、水面を水中から見上げるように、済んだ青色が上に向かって明るくなっていってて、本当に落ち着きます。多分、私がダイビングやシュノーケリングで何度も見ている大好きな風景だから感情移入も激しいんだろうな。眩しいのが苦手な昼盲なんだけど、夕日や水中の光は大好きなんで、国内海外写真撮りまくってます。
いろんな意味で真には共感できる部分があり、何度見ても泣いてしまいます。自分もそうでしたが、生きていれば絶対にいい事があり、仲間ができます。それは早かれ遅かれ必ずやってきます。まぁ中には薄幸な人もいますが様は自分次第なんですよね。いつ吹っ切れるかどうか。早ければ早い程、後の人生が楽しめるんだけど、1日で吹っ切れる人もいれば20年かかる人もいる。でも結果が一緒なら早く吹っ切れると自分も周りも早く幸せになれると思います。
真は最後には幸せを掴んだのは確かでしょう。幸せって、やっぱり人との絆、友人であり、家族なんですね。真が言ってた様に、昼休みや移動時間に一人でいることは、寂しいと思ってなくても心がいつの間にか荒んでいくものです。誰かと一緒に歩くという、何でもない様な事が一番大切な幸せなんですね。一緒に歩ける友人や家族を大切にしていきたいと思える作品です。
でも真は絵という取柄と、まぁ何だかんだでも暖かい家族がいて、最初に出来た友人が多分一生の友人になれる位のナイスガイだったのがラッキーだったと思います。何の取柄もなく、良い友人も周りにいなくて、家族さえ離婚してたり兄弟がいなかったりしたら、本当に真はやり直せたかというと疑問ですけど。でも生きてれば必ず何か良いことはあります。自分はダイビングを知って世界が物凄く広がりました。付随して一人旅を始めいろんな景色や人をあんま良く見えない目で心に焼き付けてきました。全部宝物です。生きてなきゃ見れなかったし、会えなかった大切な思い出です。
心が乾いたら、人生に疲れたら、大人も子供も見て欲しい、そんな作品です。
葛藤しながらも、たぶん普通以上に何かに拘っている人のストーリー。普段、まあいいかと終わらせている自分に気付かされます。
劇場で5回くらい観ました。原監督の作品は今回が初めてでしたが、作画にしろ脚本にしろ非常 に丁寧な仕事をする人だなという印象を受けました。後で『河童のクゥと夏休み』も借りて観 ましたが同様の印象で、これは原監督の持ち味と言っていいと思います。ですので『河童のクゥ と夏休み』がお好きな方には是非お勧めします。ずば抜けた特徴があるわけでもなく、派手で もありませんが、シーンひとつひとつが印象深く後でジワジワ効いて来る感じです。
またCool Japanではない、ややもすれば貧乏くさくなってしまう市井の、背伸びしない日本の 風景を描かせたら原監督の右に出る人はいないのではないでしょうか。画面配置ではさりげな すぎて見逃しがちではありますが、映画を観ている最中何度も絵にハッとさせられました。 ……そうですね、冒頭の空から俯瞰する町や家並み。家の門扉の前で、落ち葉にうずもれて倒 れている「Welcome」の札やホビットの人形などのガーデングッズ(かつてそこに誰かが夢見た 理想の家庭があった)。早乙女君とふと眺める川辺の風景。学校の屋上のシーンで、徐々に翳っ てゆく夕景の町並みなどなど。美術などで言われる「細部にこそ神は宿れり」の言葉を地で行 く感じです。芸術家、というより職人肌な人なんですね、きっと。
ストーリーについて、前半、主人公・真(まこと)の暮らす一見「普通の家庭」が、徐々にそ の「壊れた実態」をあらわにしてゆく展開はお世辞にも明るいとは言えずブルーな気分になり ますが、中盤、早乙女君というキャラクターが出くると話が一転します。一緒に廃線を辿るシー ン以降、暗い部屋のカーテンと窓を開け、明かりと新鮮な空気が送り込まれるように、ストー リーに気持ちいい風が吹き始めます。電車の回想シーンで、口笛でではありますが、はしだの りひことシューベルツの「風」がかかるのは恐らくその象徴なのでしょう。『河童のクゥと夏 休み』で言うと、遠野まで行って河童に会えず、これからどうするべと二人とも暗く沈みそう な所で急に「海に行こう」と言って予定外の行動に出るシーンがありますが、あんな感じです。 この廃線を辿るシーンは原作になく、監督のオリジナルなアイデアという事なのですが、救い がなくズドーンと堕ちそうな手前でサッとすくい上げてくれる安堵感というのも、原監督の持 ち味なのではないかと思います。
上映館があまり多くなく、『河童のクゥと夏休み』に比べ知名度的にいまひとつだったのが非 常に惜しまれるこの映画ですが、それでも私が行った時はいつも客席は満杯でした。多くは主 人公と同じような年代の子たちであったと思います。映画のワンシーンで、学校の合唱部の練 習が美術室にも聞こえている、という体裁でアンジェラ・アキの「手紙 〜拝啓、十五の君へ〜」 が流れる部分があります。この歌は恐らく今の中学生世代の共通の言語として、いつか過去を 振り返ったときに思い出される曲なのではないかと思います。こういう歌を持つこの世代の子 たちをなんだか羨ましいような気がしました。すっかり年とってしまい、もはや十五の自分に かける言葉も無い私ですが、それでも、もし手紙を出せるなら出してみたいような気になりま した。
――この前こういう映画を観て少し君の事を思い出した。残念だけど、今の僕も君の抱える悩 みの多くを解決できてはいない。だけど君の苦しみの一部は君だけでのものではなく、多くの 同じ年代の子が感じていることなんだ。多くの子がそれを乗り越えてきたように、君にもきっ と乗り越えてゆくことができると思う。だから負けるな、と。
追伸 : 最後に見所をひとつ。真と早乙女君がコンビニの前でから揚げと肉まんを食べるシー ンがあります。ここで早乙女君が肉まんを割って真に渡すのですが、一度真ん中から半分に割 ろうとして、一瞬考えてわざと少しずらして割り、大きい方を真に渡します。すごーーーくさ りげなくて見逃してしまうのですが、こんな事出来る人っていそうで滅多にいません(だから 後でプラプラも羨ましがる)。早乙女君の人柄をうかがわせる重要なシーンです。こんな友達 を持てた真は本当に僥倖であったと言えます。きっと一生の友達になるんでしょうね。羨まし いです。
今作以前にもロックらしい楽曲はいくつもありましたが、それらと比べても今作はかなりエッジを聴かせた楽曲もありかなり聴きごたえある作品に仕上がっています。 アルバム自体は26分、ボーナス合わせても31分ほどという短い作品ですが現在のピロカルピンの魅力は全部詰め込まれてると思います。
まず何より驚くのが、ファストチューンで刻むエッジの利いたギターサウンド。またギターに限らず楽曲のひとつひとつの、楽器隊の音が際立っていています。 今までの幻想的な雰囲気を醸し出すサウンドにそれが加わったことで、大きくピロカルピンサウンドが進化しました。 またヴォーカルは相変わらず特徴的でなお且つ中性的な、まるで少年のような声が冴えわたっています。優しく、強く、伸び伸びとした歌声は、唯一無二の貴重なものだと思います。
今作も全曲オススメです。 #1は全編通してチクタク刻む時計の音が面白く、シングルだった#2、#6は最早説明不要のカッコいい楽曲。また、#3は彼らのアルバム3枚の楽曲の中では最も激しく強い、そして速い、新しいピロカルピンを感じさせる楽曲。美しいサウンドに松木さんの高音が綺麗に絡む#4、楽器隊のそれぞれの音が主張しまくるハードなロックチューン#6、若干のシューゲイザー感さえ漂わせる分厚くも暖かい#7と、一枚を通して隙がありません。 またボーナストラックの「見果てぬ夢」は、浮遊感ありながら強さを感じさせるヴォーカルと幻想的なサウンドが織りなすピロカルピンの真骨頂的楽曲です。これは初回限定盤としてボーナスディスク1曲が付いてくるので、本当に初回版をオススメしたい。
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