また、三浦友和さんに泣かされました。渡哲也、寺尾聰、舘ひろし、三浦友和、西部警察の黄金期のキャストに感激。徳重聡も良くなった。ここでは、慎太郎(青年期)を演じた長瀬智也に拍手。見事でした。
石原慎太郎さんというアクの強いキャラクターのせいでしょうか、本書に対してはずいぶん辛口のレビューが目立ちます。 でも、虚心坦懐に本書を読めば、それほど毛嫌いすることはないんじゃないかしら、と思いました。
この本のタイトルは『新・堕落論』です。 坂口安吾の有名な『堕落論』の向こうを張ったタイトルですから、当然、本書のなかにも『堕落論』への言及があります。
敗戦期、生き残った若者たちが闇屋になり、戦争未亡人が他の男に身を任せるようになったとき、安吾はこういいました。 「人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ」と。(P17) 石原さんも、あの時点でいえば、同意見のようです。
ところが、著者はいま、こう書きます。 「敗戦から六十五年の歳月を経て、この国では人間そのものの変質が露呈してきています」(P39) 敗戦から半世紀以上経って、「日本人は変わってしまった」というのです。
本書に挙げられた例でいえば、30年以上も死んだ老父を弔わずに年金をもらい続けた一家。新しい男に媚びて先夫との間の子をいびり殺す若い母親……。 アメリカの言いなりになる日本政府。ほとんどアテにならない「核の傘」を盲信し続ける日本人……。
日本人が日本人でなくなってしまった。安吾の『堕落論』の時代は終わってしまった、というのが著者・石原さんの診断です。 だから、『新・堕落論』なのです。
確かに、著者の言い分には極端なところがありますが、その骨格は間違っていないと思います。
P101に引用されている司馬遼太郎の言葉も、まったくそのとおりだと思いました。 「日本人というのは本当に厄介な国民やな。日本人にとっては、ある種の観念の方がそれに関わる現実よりもはるかに現実的なんやからなあ」
新・堕落論とセットで読んだ。 本書は著者が産経新聞に寄稿している連載をまとめた物であるが、過去に書いている時点でまるで日本の近未来を知っているかの如く非常に正確に予測されているのに驚かされた。本書はまさしく「日本を蝕む病巣への処方箋」と言えよう。一つ一つが数ページで短く纏められているので読み易い。 本書に書かれている事が具現化されれば日本国はどんなに素晴らしい国となり日本国民も自信を持てるかと思うと歯軋りをしてしまう。 著者の本を読んでいると頭が回転し出して目も体も熱くなるので就寝前には決して読まない事にしてる。 「東京から日本を変える」を有言実行している石原さんには益々と元気で活躍してもらいたい。
子供の頃、大根役者と思っていた池部良のかっこよさ、俳優としての存在感をはじめてリアルタイムで感じさせてくれたのがこの作品でした。当時、あの東宝の2枚目の池部良のやくざ役への起用は、当時、意表をついたキャスティングで、ヌーベルバーグが若い監督に新しい映画作りへと突き動かしていた時代でした。加賀まりこがデビューして2作目だったか。当時は妖精と言われていました。この映画、とにかく池部良のカッコ良さに痺れた。以降、池部良はヤクザ役で多くの東映映画、とりわけ、高倉健と共演した「昭和残侠伝」はあまりにも有名。まだDVD化されてないのが、残念。この映画は傑作だと思います。早期のDVD化を期待します。
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