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 こんなに痛い恋愛はないのかもしれません。好きで好きでたまらないのに、一緒にいるとお互いの身を削っていくような恋愛。身体も心もヒリヒリするような交わり。こ気味よく展開される甘くて痛い会話。  どれも読んでいてきりきりするような痛さを伴うのに、なぜかうっとりとしてしまう。読みながら彼女たちの関係にどこか憧れをもってしまう。それはたぶん彼女たちの関係がとてもピュアだから。日々の生活で忘れてしまいそうなくらい、痛いほどの純粋さ。  おばあちゃんになっても、私は本棚からこの本を取り出して、うっとりと彼女たちの関係の中にヒリヒリとしながら夢を見そうな気がします。
 
 
   
良い読み方なのかは分からないけれど、主人公の本田に共感しまくりだった。男友達と話すより、女友達との方が馬が合って、「恋愛」というものが上手く理解できなくて、
 男どもの話す「下品な話」にはノレなくて。
 
 どういう形であれ、「恋愛」には権力構造が発生するし、主従が発生する。
 本書でいうなら、それは「受け」と「攻め」ということだろう。
 そして、世間で「ストレート」だと考えられている恋愛関係は
 男性が「男らしさ」でもって女性の性を奪い、「攻める」ことが(表立ってではなくても)賞賛されている。
 
 本田はそれにノレない。
 そういう「男らしさ」を本田は持ち合わせていない。
 本田は「男社会」からはみ出した人間として描かれる。
 だから、そんな本田を受け止めてくれる人が、レズビアンの七島ということなのだが。
 
 レズビアンの七島は性的マイノリティだけど、
 本田は一般的な意味では性的マイノリティではない。
 だから、なんか「もやもやしてる」自分のセクシュアリティをずっと持て余し続けている。
 そういう人って、現実社会にはどれくらいいるのだろう。
 (私もそのうちの一人だったりするけれど)
 
 全然、話が変わるけど、あるアメリカのミュージシャンが、
 「アメリカで白人の男やってるのは辛いぜ〜」と歌ってて笑えた。
 少しずつ、男たちが「男らしさ」の呪縛から抜け出しているということでしょうか。
 
 とにかく、やっぱり松浦理英子は信頼できる作家の一人だなあと、
 改めて賞賛します!
 
 
   
犬になりたいという欲望を持つ主人公の変転を描く。
 ヒトと犬との関係、登場人物の近親関係などを交えつつヒトとヒトとの関係性を描く。性が重要なファクターの一つになっているのは筆者ならでは。
 
 
   
けったいな映画ばかり作っていた佐々木浩久監督初の「まとも」な官能映画。諸川たまきがムンムンで、好きな女優。彼女の醸す雰囲気は最高だが、いかんせん筋書き、展開、カメラワークなどの映画としての基本が出来ていないような気がする。嶋村かおりももう少し力のある監督、スタッフに恵まれたら良い女優になるのに・・と、エラソーに思っております。
 
 
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