従来2つに分かれていたBOXセットが、ワンセット24枚組セットになって再発売される事になりました。 数年前から発売されていたBOXセットが、最近新聞広告などで大々的に宣伝しているのを何度か見ていたので、 「どうしていまごろ?」と思っていたのですが、この新ボックス版の発売を知って納得しました。 今回のボックス版こそ、真の意味の完全版だと思います。 その理由1完全放送版を日本語吹き替え音声で視聴する場合、 従来は一部字幕となっていましたが、 今回は、同声優又は酷似声優を起用しての吹替えで 追加収録しています。 つまり、吹き替え版でも完全版を見ることが可能になりました。 理由2待望の英語字幕も追加。イギリス英語ファンには朗報です。 思い起こせば、NHK初登場が1985年です。 今回はTVシリーズ化20周年特別記念ということだそうで、まさにファン待望のボックス版が登場したということでしょう。 お値段が安くなったのも、嬉しいですね。
ポワロのシリーズと違い、ミス・マープルのシリーズはすでにジョーン・ヒクソン主演で長編12作すべてが映像化されているので、新たなシリーズの制作チームは様々な苦労を強いられているんだろうな、とは思う。 でも、その辺を差し引いても、このシリーズは脚本がいまいちなものが多いような・・・。
『ポケットにライ麦を』 ジョーン・ヒクソンのシリーズではラストシーンに大きな改変があって、その辺り不満だったのですが、今回の作品は原作で印象的なシーンをうまく映像化していて非常に好感が持てました。このシリーズでは珍しく、脚本の出来もよかったです。
『殺人は容易だ』 脚本を大幅に脚色。今のご時世では原作のあの動機と犯人像はなかなか映像化できないのかもしれないけれど、あまりにも改編しすぎ。
『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか』 犯行の動機に関することが大幅に変更されていることや、犯人の辿る結末がかなり後味が悪い点などクリスティの作風とかけ離れてしまってると感じる部分が多々あったので、個人的にはあまり良い評価ができない。
『魔術の殺人』 ジョーン・ヒクソン版でキャリィ・ルイーズを演じたジーン・シモンズとの差別化を図ってのことなのかもしれないが、今作のキャリィ・ルイーズの描写には思わず首をひねってしまう場面がちらほら。特に、ミルドレッドへの扱いにそれが顕著に現れているように思う。第一の殺人の状況(というか場所)を変更する必然性がイマイチわからないけれど、キャリィ・ルイーズの人物像以外は比較的原作を尊重した脚本。
脚本は個人的にはあまり好感が持てないものが多いけれど、今シーズンからミス・マープルを演じるジュリア・マッケンジーは巧みに彼女なりのマープルを表現していたし、『ポケットにライ麦を』でランスロットを演じたルパート・グレイブス、『殺人は容易だ』でルーク・フィッツウィリアムを演じたベネディクト・カンバーバッチ、オノリア・ウェインフリートを演じたシャーリー・ヘンダーソンなど、俳優陣は見ごたえがあったので星4つ。
バルセロナ、観光客の居ない地元の人だけの朝の静かなグエル公園からスタート、 いかにも街歩きらしくて良い。街に出ればガウディなどが建てた 奇抜な建築物の数々がお出迎え、近くからゆっくり舐めるように 写しているので一つ一つの装飾まで個性的なガウディの建築物を堪能できる。
サクラダファミリアはあえて中に入らず、そこそこで切り上げて ピンボール遊びに興ずる地元の人の輪に参加、この番組らしい。 そして細い道路と建物がごちゃごちゃ入り組んだバルセロナの下町へ、 カンカンと響くガスボンベ売り、ちゃっと懐かしい感じのパン屋さん、 おいしそうな生ハム屋さん、新鮮な魚が並ぶ市場、地元の生活を感じる街歩き、 地元の人との素朴なふれあいに思わずほのぼのする。
グラナダ、あの有名なアランブラ宮殿に行かず華麗にスルーするのが街歩きらしい。 グラナダで一番古い歴史を持つアルバイシンの丘をゆっくり登って行く、 急な細い階段、両側の白い壁、吸い込まれそうな映像に思わず息を飲む、 車一台がやっと通れる道路を走る可愛らしいバスにはびっくりする。
家の表札に書かれた「カルメン」の意味を尋ねると見事に手入れされた お庭に案内される、地元の人の「魔法にかけられて動けなくなる」という アランブラン宮殿に魅せられた話が印象的、行く先、行く先で眺める アランブラン宮殿の美しさに本当に魅了されて虜になりそうな気分になる。
思い出の地、トスカーナ。 ルッカから電車で10分・・・だったかな?ポンテ・ア・モリアーノという町にチョットの間、住んでいました。この雑誌に掲載されたレストラン「バッテルフライ」の近くだったのです。 田舎ですから山も川も空も空気も澄んでいて、そこにいるだけで幸せでした。夏には蛍もたくさん舞っているんです。 そして、食べ物が何でも美味しい、そんな町でした。 トスカーナ1美味しいといわれるジェラートやさんもあるんですよ!!夏のみ営業なんですが・・・。 もちろん、人は親切で暖かい。 フィガロヴォヤージュでトスカーナの特集があっているのを知って、即買いました。 フィレンツェ、ルッカまでは、よく雑誌にも取り上げられると思うのですが、もう一歩踏み込んだ地にあるレストランが載っていたので嬉しかったです。 しかも、全体がとても綺麗な写真で掲載されていたので見ていて楽しいですよね。 今後もフィガロヴォヤージュ、注目していたいと思います。
グラナダ在住10年の著者が日々の生活から眺めたスペインを綴った書。 かの地に購入した家の改装工事に悪戦苦闘する様子から始まり、スペインの食や雑貨、サンタの来ないクリスマスなどについて筆をとっています。 本書には闘牛もフラメンコも登場しません。観光で訪れた人々が刹那に出会う濃厚なラテンの色合いはここにはありません。 日本人がスペイン人に対して抱きがちな力強く明るいイメージとは何の縁もゆかりもない、生活者としてのスペイン人が綴られています。 ただし著者の筆致は少々おとなしすぎる気がします。異国で、しかもスペインで独りで生きようという日本人女性ならば、もう少し強い個性の持ち主なのではないかと予期していたのですが、予想に反して文章が淡々としているといった印象を持ちました。 築50年の自宅の改装工事で味わった辛酸に対しても思ったほど憤りを感じていない様子です。 スペインで暮らす日本人であるからこそ二つの価値観を止揚した末の新たな自己主張というものが著者にはあるはずなのに、それが見られません。 著者はスペインを紹介するという作業の中で「自分」を出すことを遠慮したのかもしれません。なるべくスペインを一般化し客観的に述べようとするあまり、例えば個別事例にあたるスペイン人の友人たちの登場回数を思い切り減らしたのではないでしょうか。 しかし本書はスペイン事情の単なる解説本ではないはずです。<40代の日本人女性が独りで暮らしながら感じたスペイン>を知りたいと思って本書を手にする読者も少なくないでしょう。エッセイであるならば、より個性的であってよいと思います。 次回作に期待します。 なお、スペイン在住の日本人女性が書いた類書に以下のものがあります。 安藤まさ子著「アルハンブラの誘惑」(実業之日本社) 湯川カナ著「カナ式ラテン生活」(朝日出版社) どちらもなかなか個性的なスペイン生活が綴られています。
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