いきなり22分にも及ぶタイトル曲を聴いたとき、このアルバムが通常のソロアルバムとは全く異質の様式を持ったものであるということに衝撃受けた。パティがこれまで書いてきた曲というのは、複雑で美しいメロディを持つと同時に、そこには必ずパティのセンチメンタリズム溢れる歌声を伴っているものだった。特に、近年はよりオーソドックスで普遍性のあるポップ・クラシックのような楽曲が多くなっていただけに、完全に自身のボーカルを封印してアルバムを作ってくることは、全く予想できないことだった。
全編に壮大なオーケストレーションを配し、女性のポエトリー・リーディングなどは入るもののほぼインストだけで成り立っているこのアルバムは、もはやポップスというカテゴリーからは大きく逸脱している。これまでのプリファブ・スプラウトの音楽を多少でも期待して聴くと、大きな戸惑いを感じるだろう。これは、パティ・マクアルーンという作曲家が、自分の頭の中で見た架空の映像につけたサウンドトラックのように思える。他者に発せられた音楽というよりも、あくまで自分自身の心象風景に音楽をつけて具現化したという印象を持ってしまう。つまりプレスやメディアに対する野心的なものであったり、新しい音楽のスタイルを提示する実験的なものではなくて、むしろ無心の境地というか、音の連なりだけでパティ・マクアルーンそのものを表現したのだと思う。それは、ボーカルを排除することにより、楽曲の制限を極力なくし、真っ白のキャンパスに何も決めずに自由に絵を描いていくような手法を取ったということが裏付けているように思う。 また、このアルバムを作る前に、パティは何度目かの網膜はく離の手術を行なっており、視力がほとんど奪われている状態だったという。そういう状況だったから、これまでの作曲方法は取ることは現実的に不可能だった。しかし、そんな状況でも生来のソングライターであるパティは、自身のイマジネーションの中で、漠然とした音の連なりが浮かんできたのだろう。それをある程度、まとめる形でリリースしたのが、今回の謎めいた魅惑溢れるソロアルバムになったように思われる。
みんな不愉快に思ってるみたいだけど、俺もストーリーボードのリンクボタンはいらないな。 その他の特典映像や日本語吹き替えもしっかり付いてるし、廉価で凄く気合が入った良い仕事してると思うのに残念。 もちろん本編の内容はいうに及ばず、バカバカしくて最高に楽しめるし、男同士心を通じ合わせるぐっとくる良いシーンもあって文句無いんだけどね。 一応念のために言っておくけど、未見の人は絶対観るべし! 全編細かいギャグをちりばめていて面白いけど、特にラスト30分は思わず声上げちゃうくらいアガルから! ほいでもって気に入ったら、同じ面子でこれも楽しいショーン・オブ・ザ・デッド [DVD]も是非!
面白すぎて、どっと疲れてしまう。
映画を観終わった後こんな気持ちにさせられるのは滅多にお目にかかれないのだが、ポール・グリーングラス&マット・デイモンがやってくれました!! 115分、全編に充満する緊迫感、劇中3度に渡ってジェイソン・ボーンとCIAの間で怒涛の如く繰り広げられる追う者と追われる者とのアクション・シークエンスの素晴らしさ、縦横無尽に動き回るカメラ・アイに膨大なカット数、このジャンルの古典的名作「フレンチコネクション」のチェイス・シーンも軽く凌駕してしまうようなシャープでテンポ良く畳み掛ける編集の妙、アクションの流れと正に一体化し、疾走感と緊張感を醸し出す音楽、そしてシリーズお馴染みの生身のスタント・アクションの神技的凄まじさ。 本当に息つく間もなく手に汗握る快作、ハリウッド映画では定石のラヴ・シーンもコミカルなパートもないひたすらハードでクールな研ぎ澄まされた感覚。 デビッド・ストラザーン、アルバート・フィニー、スコット・グレンの悪の枢軸トリオも重厚感があって映画の格を上げている。 エンド・ロールで紹介されるスタントマンの数が延べ180人にも及ぶことに感動しながら、個人的にはジョン・フランケンハイマーの「ブラック・サンデー」級のアクション映画史に残る大傑作と言い切りたい。
小西康陽のかっての名言を借りるなら、“まだ観てない人は幸せだ、生きる歓びが待っている”。 必見!!。
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