エモーションの名に相応しく、諏訪内とゴランの情緒性・個性が高い次元で融和した珠玉の名盤だと思います。諏訪内ファン、オーディオファンには是非ともお勧めします。ただ、ボーナスBDの映像・音声も大変美しいので、フルバージョンで見たかったなぁ・・・と少し心残りです。
完成度は極めて高いと思います。少なくとも、今まで私が聴いたクラシック音楽の録音の中では最も完成度の高いものです。
それに、この録音には、内向的で人見知りが激しく、周囲に壁を作り、決して他人に心を開かず、いつも自分を守ることで精一杯な諏訪内晶子の心象が見事に表現されている。その意味でも、これは傑作だと私は思います。
しかし、諏訪内晶子の演奏は、良く言えばとても繊細な演奏なのですが、悪く言えばかなり神経質な演奏で聴く人によって好みの分かれるところでしょう。
私個人としては、外見はコテコテの東洋人でも中身はすっかりアメリカン(?)な五嶋みどりのシベリウス:ヴァイオリン協奏曲/ブルッフ:スコットランド幻想曲やサラ・チャンのメンデルスゾーン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ほうが、過酷な現実に直面しながらも意に介せず力強く生きるトム・ソーヤーの冒険 DVDメモリアルボックスのトム・ソーヤやハック・フィン的な大らかさがあって安心して聴いていられます。
正直いって、神経質なナルシストだった太宰治の小説のような諏訪内晶子の音楽には、どうしても馴染めませんでした。
したがって、星5つにするか迷ったのですが、あくまで個人的な主観で星4つにしました。でも、冒頭で書いたように完成度が極めて高いので購入しても損はないと思います。
なお、この録音のSACD盤シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲が発売されています。自他ともに認める神経質なクラシック音楽&オーディオ・マニアの方にはSACD盤のほうが、より満足度が高いと思います。
今までの私の諏訪内さんの印象は「美人で凛とした才能に恵まれた天才」でした。しかし、この本を読んで考え方が変わりました。正直、小さい頃からこれほどの努力をし、チャイコフスキーという最高峰を制覇してからも自分に奢らず自分をいつも見つめ考え、コロンビア大学で政治学などの勉学もされた。それも本職をおろそかにしないようにとの事だったのだから、どれ程の努力をされた事でしょうか。プロだから当たり前と言えばそれまでですが・・。出会った方々の真摯なアドバイスも謙虚に受け止めまた見つめ直し努力する。本当に凄い方です。
私はただの一般人だけど、人として諏訪内さんの生き方を見習いたいと思える本でした。その後、パガニーニのDVDを見ましたが、この本を読んでからだったので本当に感動しました。いつか、まだ諏訪内さんの中では納得出来ていないブラームスとベートーベンの協奏曲をカップリングでCDが出ることを心待ちにしています。
この本はすぐ在庫切れになってしまいますが諏訪内さんがどんな理由であれ好きな方は本当にお勧めです。
AKIKO SUWANAIの演奏風景を見ることのできる待望の映像です。あの1990年のチャイコフスキーコンクールで第1位を獲得して、鮮烈のデビューをかざった諏訪内晶子さんを楽屋に訪れた私に、「まだ学生ですので、 サインは出来ません。」と答えた彼女の凛々しさが今でもはっきりと私の記憶に残っています。その後、彼女のコンサートに行くこと20回、毎回、進化し続けるAKIKO SUWANAIは巡礼者とも言える真摯な姿勢が伝わってくるそんな演奏会です。そして、そんな彼女の映像を家庭で見ることの出来る DVDです。ファンの方はもちろん、そうでない方も満足されること請け合いです。諏訪内流、パガニーニの調理法やいかに?ご賞味あれ!!!
美人で天才肌のヴァイオリニスト。本書で一番の驚きは、チャイコフスキーコンクールで優勝するまでに受けた国際コンクールで2位ばかりだった事から見つめた、自分そして日本人の音と1位ないしは欧米人の音の違いの分析。こうした音への感性が、彼女の音楽性の根幹にあることを知って驚きでもあり、一流演奏家としての資質を垣間見た気がする。
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