オーストラリア出身の大所帯バンド、アーティテクチャー・イン・ヘルシンキの2005年アルバム。
僕はこれで初めて彼らを聴いたのですが、牧歌的でいて、どこか頭のねじがゆるんでいるような着地点のない浮遊感は、何かに似ているなあと思ったら、オブ・モントリオールとかゴーキーズの、あのなんとも言いようのないぐるぐる感でした。オブ・モントリオールはアメリカ、ゴーキーズはウェールズ、そしてアーティテクチャーはオーストラリアと国は違いますが、確かに共通の音楽性を感じます。それはなんていうか、音楽の遊牧民とでも言いましょうか。自由にどこへでも行ってしまう上、どこか御伽噺的な懐かしい不可思議さを持ちえた音楽なんです。なので、上記のバンドの音が好きだった方は、間違いなくこれも好きだと思います。また言えるのは、決して彼らは真似をしているのではないということで、おそらく生活のあり方だとか思想なんかの方向性が似ていることからくる類似性ではないかと思います。
まず歌がいいなあ。 インディーで歌ものをやってる人達の中では、 いわゆる、抑制されたメロディーからは一歩も二歩も踏み出していて、 とてもキャッチーでポップ。 飛び出してくるフレーズも、いちいち親しみ易くていいなあ。 だから、エレクトロニカ、トイポップという妙に閉じたイメージが つきまとうカテゴリーで扱われるのはもったいない。 マニアックさも希薄だし、 取っ付きにくさとは無縁な作品ですよ。
楽曲自体はシンプルなんだけど、その基盤のうえで かなり遊んでいるので、ちゃんと聴き込める。 おかげで単調にもならず、歌を聴かせながらも楽しませてくれるな〜。 インディーでは珍しくサービス精神旺盛な印象を受けます。 意識がしっかり外へ向かってる。 こういう存在が居てくれるのは凄くいいことだと思います。 もっと聴かれてもいいと思うな〜。 妙チキリンなの聴き過ぎて頭が重くなって来たときに聴くと、 効能二割増し。 いつの間にか愛着がわいて、生活に寄り添ってくれる優しい音楽。
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