何度も聴いても、歌っても感動する曲であり、多田武彦氏の大フアンの一人です。何故、こんなに感動を覚える作品が生まれるのでしょうか?歌う喜びをまた、増幅させられました。ありがとう!
27歳の無名の作家中勘助の「銀の匙」を夏目漱石が激賞して世に送り出したのは有名な話で、私も随分前に読んだが、子供の目で見た詩情溢れる作品に、清々しい感動を覚えた。
随筆集の中で"天の橋立"は「銀の匙」の少年の日に憧れた姉の友との再会と永訣の結末には、人の世の儚さ寂しさが胸に迫って来た。
"漱石先生と私"は学生時代に講義を受けた先生としての漱石と、その後漱石山房に参入するようになり「銀の匙」を推薦して貰う経緯や、漱石の人柄が良く判る。漱石が「僕も変人だけれど中も随分変人だね」と言っていたのは面白い。
今回随筆集を読み、詩や短歌も織り込まれた独特な文章の素晴らしさが味わえた。一般的な随筆と違い日記として書かれ、幼少期の自伝と言える「銀の匙」から80年の生涯が一覧出来るという事で、他の作品も読んでみたいと思った。
数少ない、男声合唱のみを扱ったCDです。 アカペラ専門作曲家:多田氏の作品には抒情的作品が多く、 男声合唱を経験した者であれば、多田氏の名を知らぬ者は恐らくいないでしょう。 日本合唱曲全集の中で、このCDが最も良く売れていたのもうなづけます。 このCDの目玉は、男声合唱組曲「雨」の中の終曲:雨です。 平易な言葉、平易な旋律、平易な和声の中に、 底の知れない人生への「問い」が込められています。 また、演奏団体は知る人ぞ知る、男声合唱の名門、京都産業大学グリークラブです。 この団体の歌った雨に勝る演奏が今後現れることは無いでしょう。 この曲の中で独唱を担当する、尾形光雄氏の声がまた素晴らしい。 他にも男声合唱の真髄とも言うべき作品がずらりと並んでいます。 どれも日本人の心を打つような作品ばかり。是非お聴き下さい。
私がこの本にであったのは、大学生のころでした。当時この本はさして有名ではなく、文学史などでもとりあげられることはなく、私がこの本を手にしたのは、岩波文庫はなるべく多く読もうとおもっていたからにすぎません。
ですが、読んだときの衝撃は、今も忘れることができません。決してきどっておらず、それでいてなんとも美しい日本語によってつづられてゆく日常の風景によぎる幼き日の思い出。
私は、もう一度この本を読もうとは思いません。十分すぎるくらい心にのこっているから。
少し残念なのは、今ではこの本は、知られざる名作ではなくなっているらしいこと。知ってるのは自分だけと思うと何となく楽しいものですが、昨今は、夏目漱石の『こころ』につぐくらいの知名度とか・・・
何もない日常を小説にできるのは、結構な才覚。文体の力が大きい本ですので、日本語を堪能したいかたにおすすめ。
淡い叙情的なスケッチ文章で 夏目漱石にも影響を与えた名著『銀の匙』。 そのイメージを愛して居る人は避けた方が良いかもしれません。 しかし、この一編を除いて 中勘助を語ることも不可能だと思うのです。
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