嶋中文庫の『銭形平次捕物控』全集の第一巻。といっても、年代順に収録されているわけではないようだ。本書は、良作ばかりを集めた印象。 「買った遺書」「平次屠蘇機嫌」「蝉丸の香炉」「人形の誘惑」「辻斬綺談」「花見の仇討ち」「碁敵」「お藤は解く」「双生児の呪」「御落胤殺し」の10篇が収められている。 1巻に選ばれた作品だけあって、面白いものが多い。設定が凝っていて、平次が活躍して、どんでん返しがある。 野村胡堂の書いた随筆「平次身の上話」も併録。 平次ものへの入門書としては最適だろう。
ご存じの方も多いでしょうが、銭形平次の原作者である野村胡堂氏のSPレコードコレクションからの復刻です。歴史資料としての価値はもちろんのこと、蓄音機の時代にこれほどまで水準の高い音楽が享受されていたという音楽性そのものに感動します。胡堂氏は当時のレコード音楽の第一人者であり、東京大学でレコード音楽を講義し、現在の天皇陛下が皇太子であられたときに西洋音楽の御進講も務めた人物です。できれば音の良いスピーカーで再現したいデリケートな音源であります。
語り口が、講談か弁士か戦前の青少年向けか、みたいな感じなので、ちょっともぞもぞします。平次が勝手に犯人を勘弁しちゃう案件が1冊めだというのに何回も出てくるので、ちょっとちょっと!と心の中でつっこまざるを得ないです。あっしは半七親分派ですねー。
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