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この歴史上実在の人物を書くのは難しいですよね。大正天皇の従兄妹だったかな。
 圧倒的に、庶民と相対する立場で、しかも時代
 は2昔前。この富(財政的には落ちぶれ華族)
 も美も地位も生まれながらに持ち合わせた白蓮
 を、富と美と地位をがむしゃらに追いかけた林
 真理子が書くというの組み合わせに興味があっ
 た。
 ちなみに、この書籍は、主人公柳原白連が駆け落ちをした恋人(後の再再婚相手)と交わした
 書簡一連を提供されて成立したと言える。
 小説の中でのこの書簡集の利用の仕方が若干
 弱く、これが星一つ分マイナスの私の理由。も
 う少し淡々と使ってほしかった。林真理子色が
 強く出すぎた配置のように思う。
 林真理子の執筆はシンプルで短文が上手。 白蓮には人間!としての魅力のかけらも感じなかった。それが林真理子が捉えた白蓮なのか、林
 真理子自身なのか、が分からなかった。人間的
 奥行きとか魅力がない、というのは、著者の小
 説に登場する主人公に共通した点で、そういう
 意味では、白蓮は作者によって書きやすかった
 のかもしれない。作り手は、自分にないものは
 書けないのかもしれない、と改めて感じた作品だった。
 
 
   
当代日本のNo1の、それも他の追従を許さない並ぶ者のないソプラノ歌手に塚田佳男氏のピアノ伴奏。数ある山田耕作作品集の中でも傑出したCDだと思います。それにしても如何したらあの声が出せるのでしょうか。
 
 
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