NHK朝ドラ・ゲゲゲの女房からの話題書「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」を読み、赤塚不二夫の自筆の書、ということで 読んでみましたが、内容に驚きました。
“レレレの娘”こと赤塚りえ子さんの、家庭内ドタバタギャグから、さぞかし愉快な家庭物語と思いきや、逆に、満州・旧ソ連国境 近くで憲兵(警察官)の長男として生まれ、当時で言うところの「匪賊討伐」にあたった父君に徹底した人間教育、曲がったことは しない。人を信じて裏切られても『これでいいのだ』、そして、銃弾飛び交う隣接拠点の襲撃に同行させられたこと。また、斬首 された首を見物したことなど。一見、ハチャメチャと思われがちな筆者の生活の影に、生い立ちからの闇が潜んでいることを実感 させられます。
赤塚ギャグは、スラップッスティックとも言われるように、ある意味シュールで血をみることも多いのですが、何故か母親だけは その対象にならない、という理由も、自ら述べられているように、ご母堂に愛され続けた筆者ならではのこと。また、凄惨な引揚げ を乗り越えて帰国した直後に亡くなった妹の影は、デコッパチの妹に擬せられます。やりたい放題に放埒に生きたように見える筆者 が、実は、漫画家としてデビューする、かの有名な「トキワ荘」のエピソードの前までに重点が置かれていて、そこから先はサラリ とご両親の亡くなるまでを淡々と描いている。爆笑ギャグの根源には、シニカルな視線があって、その裏面を常に漫画家していたと いうのが感じられます。
同じく満州の官吏の子息から引揚げ体験を持ち、ジフテリアの妹を背負って街じゅうを歩いたという、大藪春彦氏のエピソードとも 繋がります。それを、徹底した体制不信という方向でストレートに燃焼させたのが大藪春彦氏、シニカルに笑いに転換させたのが 赤塚不二夫。本書を読むと、「これでいいのだ」というフレーズに潜む筆者の“突き抜けた”想いがひしひしと感じられます。
ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘 赤塚不二夫対談集 これでいいのだ。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
白木みのるのはじけっぷり、三波伸介のなりきりっぷり、どれをとっても非の打ち所がない傑作揃い。だいたい、アニメものでこんなに沢山の歌ものが作られること自体尋常でない気がする。バカボンがいかにおかしかったかが(面白いでなく普通じゃないと言う意味で)よくわかるCD。
手塚治虫の全集DVDもすばらしいものでしたが、このDVD集も負けず劣らず良い出来です。20世紀日本における漫画文化のレベルの高さを余すところ無く伝えてくれる逸品だと思います。付録のDVDでは動く不二夫先生がたっぷり見られますが、キテレツなコスプレ映像を家庭用ビデオで撮影させているところなどギャグ漫画そのもののようで大爆笑間違いなし! 限定発売なので、無くなってしまう前にぜひ買いましょう。安い買い物と思いますよ。
今日(2008年8月2日)に赤塚不二夫氏が逝去されたと聞き、帰宅してすぐこの作品を手に取りました。
長きにわたってアニメ化された赤塚不二夫氏の作品の主題歌を聞いて、アニメを見ていた当時を思い巡らすのも良いと思います。
自分にはこの仕事しかないって天職を決めて、そのために必死になることくらい楽しいことはないんだ。でね、これだって決めたら最後までやる。それが男としての最低のルールなの。前に野坂昭如が言ってたよ。「俺はできないことでも引き受けるが、最後につじつまを合わせる。それが人間だろ」この言葉気にいってんだよ。「やります」といった以上は、どんなことでもつじつまを合わせてやり抜くしかないんだってね。漫画家なんて、仕事自体がつじつま合わせの連続だからね。否応なく次々に締め切りがやってくるだろ。それをどうやってつじつまを合わせつつ間に合わせるかが才能であり、ちゃんとできるのがプロなの。言い訳する暇があったら、どうしたらつじつまが合うかもう一度じっくり考えてみろって言いたい。人生はつじつま合わせ!
きみがもし、俺がトキワ荘で得たような仲間たちを自分も持ちたいと思ったなら、まずはっきり人生の目標を決めることだ。「日本一の大ドロボーになりたい」でもなんでもいい。本気で目標にして生きれば、同じように大ドロボーを目指す奴が自然に集まってくる!
この2人を見て、つくづく感じたよ。どんなことも本気で15年も取り組みさえすれば、必ずそれなりの結果が出てくることを。努力した人間を世の中は裏切らない!
ただバカっつたって、ほんとのバカじゃダメなんだからな。知性とパイオニア精神にあふれた馬鹿になんなきゃいけないの。立派な馬鹿になるのは大変なのだ。
バカっていうのは、自分が裸になることなんだよ。世の中のいろんな常識を無視して、純粋な自分だけのものの見方や生き方を押し通すことなんだよ。だから、バカだからこそ語れる真実っていっぱいあるんだ。学校の成績が悪かったっていうのは、それだけ頭にごちゃごちゃと余計な知識が入ってないってことだろ。ちっとも恥ずかしくない。かえっていいくらいだよ。バカを直す必要はない。どうせならりこうを直した方がいい。
やめな!たぶん、失敗する。うまくいく奴って、みんな勢いがあるの。「よしやろう!」って決めたときには、もう始まっちゃってるくらいの。「どうしましょ」って俺に相談するくらいじゃ先は見えてるよ。
何でも世の中を正面から見ててもだめ。斜めから見たり、下から見たり、そのものをひっくり返してみたり、いろんな見方ができるのがセンスでさ。いくら手帳やノートのいろいろ書いたって、センスがなきゃどうにもなんない。知識を増やしてる暇があったら、先ずそのセンスを磨きな。
俺、60年生きてわかったの。人生なるようにしかならない。だから好きなことやり続けるしかない。そう、これでいいのだ。
芸術ってのは、そんなに堅苦しいものでもないんじゃないの。自分の感性で美しいと感じたものを表現するんだよ。周りの目なんて気にするのよしなよ。自分の芸術を決めるのは自分だけなんだから。
よーしこれでいいのだ!!
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