商業主義的な娯楽映画とは対照的に、余分な味付けを一切使わない栄養たっぷりの上質のミネラルウォーターのような映画。物語も、映像も、音楽も、みずみずしく、温かい。主演のトビー・マグワイアとシャーリズ・セロンの新人のようにみずみずしい演技が印象的。マイケル・ケインの父親的な優しさは、物語全体に温かみを与えている。難しい役柄を演じ切った人気歌手エリカ・バドゥの演技力には脱帽。 この映画は誰もが心の内に持っている純粋さと優しさを引き出してくれる。偽善なんて言葉は一切無用。観る者を純粋な気持ちに帰らせてくれる、心の故郷のようだ。トリックを使わず自然を強調した透明感のある映像や、レイチェル・ポートマンの繊細で優しい音楽など、技術面も純粋そのものだ。話の先が!読!めるのに、ついつい感動してしまうのは、この映画には観る者の心の純粋な部分にストレートに訴えかけるものがあるから。世の中いろいろあるけど人生はすばらしい、ラッセ・ハルストレム監督の、そんなメッセージが伝わってくるようだ。本当にいい映画とはこういう映画のことだ。観てよかったと絶対思える感動作。大切に残しておきたい、おすすめの一本です。純粋に感動したい時、日常にウンザリしてしまった時には特におすすめです。リフレッシュできますよ。
若い頃はブラック・ミュージックが苦手でしたが、30歳を超えた辺りからブラック系を聴くことが多くなりました。ブラック系の特徴として、≪癒される≫&≪元気が出る≫という点が挙げられます。この≪エリカ・バドゥ≫の場合も、ジャズとソウルとヒップホップが融合したようなヴォーカルに、本当に癒され、元気が出ます。ブラック系音楽の良さは、歳を重ねるほどに分かるようになりますね。最高です。オススメ。
甘さと苦さがほどよくとけあった、ビターチョコレートのようなアルバムです。個性的なヴォーカルが、聞けば聞く程心地よく、彼女の世界観が濃縮されている、といった感じ。クールです。
音楽モノのDVDって、短かったり、内容が薄かったり、どうも中途半端なものが多いと思う。値段のわりに。 これは、イギリスBBCの人気番組レイターに出演したアーティストによるパフォーマンスを収録したシリーズ第6弾で、ヒップホップソウル特集。 これがもうステキな面子が揃っていて、『95年のディアンジェロから2004年のカニエ・ウェストまで』という謳い文句。なかなか滅多に見れない人らもいます。ま、ぶっちゃけ「ヒップホップソウル」という切り口と、揃っている面子がだいぶズレてるような気がするけど(笑)。ネオソウル寄りな人がかなり占めている。StreetsやJameliaなんかもいるのが、いかにも英国のイマの番組でしょう。 しかも33曲収録、一部アーティストには(番組中の)インタビュー映像もあって、これがまた良い。総収録時間は166分!まんぷく。 個人的推しは、6.ERYKAH BADU "On And On"、14.JILL SCOTT "Getting In The Way"(バックコーラスにVivian Greenが!)、15.GLENN LEWIS "Don't You Forget It"、17.SADE "Is It A Crime"、19.KANYE WEST/SYLEENA JOHNSON "All Falls Down"(バイオリンはMiri Ben-Ari、そして後ろにJohn Legendが!)、25.INDIA ARIE "Brown Skin"、29.TWEET "Oops"、30.TERRI WALKER "Ching Ching"、31.VIVIAN GREEN "Fanatic"、32.ANGIE STONE "No More Rain"、33.FUGEES "No Woman No Cry/Fu-Gee-La"。 インタビュー部分は、古館伊知郎みたいな司会者とピアノ前でトーク。 インタビュー中には、アリシアはファンならおなじみのあのカヴァーを自らピアノ弾いて歌うし、ビヴァリー・ナイトは"His Eye Is On The Sparrow"で激ウマな喉を披露するし、アンジー母さんはソウル・クラシックを、ヴィヴィアンちゃんはしっかりジャズを歌う、みたいな。 こういうシーンの収録のほうが、より「おいしい」かも。
Blur/Gorillazのデーモン・アルバーン、近年はトム・ヨークの新バンド「Atoms For Peace」でも超絶技巧のベースを聴かせてくれたRHCPのフリー、そしてアフリカン・ミュージック/アフロ・ビートの生きた伝説である御年72歳(!)のドラマー、トニー・アレンという極上の面子によるプロジェクト、夢の競演/饗宴
そこに現代のソウル・クイーン「エリカ・バドゥ」やガーナのラッパー「マニフェスト」他、数多のアフリカン・ミュージシャンが参加したザッツ・ファンキィなアルバムである
デーモンが近年、アフリカン・ルーツ・ミュージックやBuena Vista Social Clubのようなラテン・ミュージックなどオーガニックな音楽に傾倒していたのは知っていたが、初めて今作をレコ屋で発見したとき「またぞろデーモンが片手間で変なプロジェクト始めたのか・・・ブラーやれよブラー」なんて一人ごちた。だが、試聴機のスタートボタンを押してものの数十秒で激しい自省の念にかられてしまった。そこに流れる音楽があまりに芳醇で多様性に富んでいたから。自身の音楽ボキャブラリーが貧困なので、こういった音楽性の作品には普段あまり触れないのだがいやはや大変に聴き易く且つとても楽しいアルバムである
上記の3人が飛行機の機中で「そのうちジャムろうぜ」と意気投合したのがそもそもの結成の経緯らしいが、ミュージシャン・シップの高さ故か非常に高次元で融合した洗練と熟練の極みを聴かせてくれる
ファンクを基調としながらも#11ではダブに接近し、#7ではNujabes顔負けのジャジーでリリカル、メロウなナンバーを披露するなど様々なエッセンスを散りばめていてあくまでフリー・スタイル
デーモンは、唯一ヴォーカルを披露する屈指のバラード#8以外は主に裏方でアルバム全体のイニシアチブを執っていたようだ。各々が変に個性を出さず邪魔せず適度で絶妙な距離感を保った演奏をしているところが、より一体感のあるグルーヴを作っている
今作は理屈抜きで体感するタイプのアルバムだ。プレイヤーの前で正座して折り目正しく、なんてのより「夏の夕暮れにビール片手に寝っ転がって聴きたいな」とかそんな感じでいいと思う
YOUTUBEでライブを見たのだが、こういう面子でこういう音楽をやったらさぞ楽しいだろうなという「楽しくて仕方ない」感が物凄く出ていた
演奏する楽しみ、聴く楽しみ。文字通り純粋に音を楽しむことに溢れたアルバム
|