アスリートへのインタビュー記事、本で最も大切なのは インタビュアーのその競技、そのアスリートへの敬意だと思います。 アスリートへの敬意と愛情が深く感じられる本です。 そしてまた、アスリートのエモーショナルな心の揺れがよく捉えられていると思います。 4継で控えだった選手の想い、そしてメンバーからその選手への想い。 ウェットになり過ぎないクールな語り口で紹介されるそのエピソードは とても心に沁みるストーリーでした。 スポーツを愛する方に是非読んでいただきたい1冊です。
スイスで活躍したドイツの指揮者、ヘルマン・シェルヘンは、現代音楽の擁護者として知られている。 しかし、一方で、バロック音楽にも興味を示し、自らのコンサートでは積極的にバロック音楽を取り上げていたという。
シェルヘンが積極的にバロック音楽を紹介していた当時は、現在ほどに資料が充実していたわけではなかった。 そのため、今日では、シェルヘンのアプローチは、今日行われているアプローチと比べると、かなり違和感があるだろう。 しかし、シェルヘンは目の前にある楽譜を原典とし、その原典に忠実であろうとする。 メロディ・ラインの美しさに耽溺することなく、テンポを厳格に管理しようとしている。 後続のイ・ムジチによる流麗な演奏と比べても、その厳格さは、今日では意固地さを感じさせ、違和感を覚えるかもしれない。 しかし、その真剣な演奏は、かくあらねばならぬという筋の通った信念を感じさせる。
ジュリアン・オレフスキーの独奏も、シェルヘンの演奏に合わせて、几帳面なソロで応えている。 惜しむらくは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団(実際は、ウィーン国立歌劇場やウィーン・フォルクスオーパーなどの団員有志による混成のオーケストラ)の反応が今一つ鈍く、シェルヘンの目指す響きの歯切れの良さを、必ずしも実現し得ていないところだろうか。
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