当事者やそのパートナーの視点にたって、心のケアになるヒントを与えてくれる、本当に優しい本です。 前半は症状、後半はケア方法について書かれています。 PTSDは突然やってきて、本人と取り巻く人すべてを苦しめます。 何をやってもうまくいかなくなり、自己不信にまで陥ってしまいます。 次第に絆までもが壊されてくるように感じてしまいます。 はやく元どおりになってほしいという気持ちが強いほど、思うように回復してくれません。 本書は、当事者ととりまく全てのひとに読んでもらいたい一冊です。 そして、本書に書かれているように、「多くの人達が、外傷から立ち直る過程で成長し、外傷を受ける以前よりも豊かになったと感じています。今のあなたには信じられないことかもしれませんが。」を信じたい。 大事な人を守ってあげたい。
精神科医師が、《環状島》というみずからのメタファーを再構築し東日本大震災と向き合った好著。 ロジカルでありながらそこに著者の息づかいが感じられるのは、一人の日本人として震災の傷跡をご本人も受けているからだろう。冷静な筆致のなかで、最後の最後に希望をふともらしているのがいい。
『今後、被災地のなかから、どのような文学、詩やアートが生まれてくるのか楽しみです。宗教やスピリチュアルな領域においては、東北は豊かな民族文化を持っていました。口承伝承の再評価、祭りや儀礼の復活再生、新たなタイプの祭りや儀礼の創造は、〈内海〉に沈んだ犠牲者たちの声を蘇らせ、後世にまで伝えることでしょう』
まったく同感です。
|