2011年に聴いても見劣りするどころか、今やこれ程までにタイト且つ複雑でテクニカルでメロディアスな妥協なきスラッシュメタルを提供出来るバンドはどれ程いるだろうか。90年代以降シアトル系アーティストの台頭に伴いテクニカル色の強いバンドが淘汰され今や死に絶えてしまったといっても過言ではない。その後もハードコアやメロコアと必要以上のテクニックは無駄とされた。そろそろ聴きたいでしょう。これ程までにテクニカルで惚れ惚れするスラッシュメタルを。このCORONERは、80年代が生み出した貴重な財産であると改めて認識した。2ND、3RDは安価で手に入るので、チルドレンオブボトムとかアークエネミーとか好きな若い方に聴いて欲しいが、このアルバムとグリーンは手に入りにくくなっています。特にこのアルバムは、グリーンでインダストリアル路線に入る前の過渡期の作品なのでバンドグルーヴが生々しく聴き応えがある作品である。
[作曲家及び作品情報]
Blood Stain Childによる2011年発表作品。
Blood Stain Childは大阪の作曲家で、本作品「EPSILON」は5thアルバムの位置づけになる。
また、Blood Stain childは、一般にMelodic Death Metalの枠組みで多く語られる。
[本作品について・概説]
本作品において楽曲展開の主体となるのは、重低音の細やかなバッキングを基軸としながらも時折テクニカルなソロ・パートを導入するGuitarと、多彩な展開に柔軟に対応し、要所に刷り込まれた電子音になる。変速・変拍子等を多用する傾向はなく、緊張感溢れるShout Vocalのパートを抜けた後に、透明感溢れる女性Vocalに落とし込んでゆく、という方法論が多く用いられる。また、全編を通して、メロディーラインが非常に充実しているが故に、若干聴き通すのに体力を要するが、細部までとても丁寧に工夫が施された作品である。
[本作品について]
私が本作品について、まず特筆すべきと考えるのが、日本の多くの作曲家が得意とするこの非常に繊細且つ抑制的なメロディーラインの運び方である。ストレートで伸びのある女性Vocalが楽曲中に溶け込むように現れ、鮮やかに消えゆく箇所等は、とりわけその美しさにふと気をとられてしまう程であるが、全体として叙情的な旋律の配置のバランスが何より的確である。そう言い切ってしまうのは、実に容易であるが、その「重く」「力強い」「Band Sound」を決して削ぐことの無いように、という配慮が節々に感じられ、そのための工夫が巧みに施されている。
また、電子音の組み込み方にも並外れたセンスを感じることができる。
従来、「シンフォニック」と名の付く枠組みは数多く誕生してきた。そうした彼らは「荘厳」「悠大」な世界観を極めたものが多く、既にその形式もほぼ完成されていると言っても、過言ではないと私は考えている。
一方、私が上記のジャンルと「似て非なるもの」として聴いていた作曲家として2010年に傑作「DAMAGE THEORY」を発表したロシアのIllidiance等が居る。
彼らは一般に「Cyber Metal」という枠組みで多く語られる。
Blood Stain ChildやIllidiance等はそうした「似て非なるもの」を探求する先駆的存在であると言える。「シンフォニック」とは違いより現代的なリズムやサウンドを、電子音を通して取り込むが故に、「Band Sound」と如何にそれらを融合させ、展開するかという点に大きな難しさは確かにあるが、まだ、彼らの探求は始まったばかりであり、全く未知の世界であることに疑いが無い。
海外でBlood Stain Childが「Trans Metal」と紹介されていたのを偶然目にした。
今後の「Cyber Metal」と「Trans Metal」の歩みに心から期待を寄せたいと思う。
[Art Work]
表紙のアートワークはMario Wibisonoという方の作品である。体感温度をふと忘れてしまいそうな、透明感溢れる楽曲内容を、実に見事に捉えた素晴らしい出来である。最後になってしまい申し訳無いが、こちらも今後の活躍を心から祈りたい。
以上
文句なしにカッコイイです。
ラウドとデスボイスを駆使したメタルです。
メロディがよく、その中でラウドとデスをたくみに使う構成が非常に気持ちいいです。
ARCH ENEMYやLINKIN PARK好きならはまるのではないでしょうか?
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