シュガー・ベイブ時代以来の山下氏の音楽のファンです。
当時、女性みたいにカン高い声で歌うフォークや、
これがロックかぁ、としか思えないロックもどきの歌ばかりが売れて、
こういうのが殆ど売れなかった時代だったんですよねえ。
(ニュー)ミュージック・マガジンなどのレコード評でも、
発売時の評価が確かイマイチだった記憶があります。
でも、このアルバム等で表現されている彼のポップ・ミュージック観が
当時から大好きでした。
とりわけこのアルバムは高い完成度を誇っている、と思います。
レコード・ジャケットも、(世評とは全く反対に)、
佐藤ペーター憲吉さんが描いているというだけで、もうオッケーでした。
レビューアーの中では、山下氏のアルバムでは "It's a Popping Time" と並んで
モスト・フェイバリットな1枚です。
本CDのライナー・ノーツで山下氏ご自身が書かれているような、
ミュージシャンとして危機的な状況にご本人があったとは、
レコードを聴いていた当時は、ついぞ、気がつきませんでした。
山下氏の勝利でもありましょうが、
RCAの小杉理宇造ディレクターの勝利でもあるアルバムと言えると思います。
小杉氏は山下氏のデビュー・アルバム「サーカス・タウン」でも
確か唯一人、その製作に手を挙げたレコード・ディレクターだった筈です。
日本の洋楽系ポップス界の、まさに恩人みたいな人ですね。
「プリーズレット・・」「アイムソー・・」「キスミー・・」「彼女は僕のことよく知っている」のこの4曲のならびはいったい何なんですか!僕が始めて聞いたのはラジオで「プリーズ・・」でこんなに気弱で美しい音楽があったのかとびっくりしました。「アイムソー・・」はブライアンの余韻たっぷりのベースがたまらない気持ちにさせてくれるし、ライナーノーツでも書かれてるとおり、最後のデニスの絶唱は胸をワシづかみにされる。デニスの歌声はその人生と同じく刹那的に響く。「キスミー・・」は説明しなくてもね、「シーノウズミー・・」は僕がブライアンのファウルセットの中で一番好きなもの。どっかいっちゃいそうになりますね、別の世界に。
達郎氏の素晴らしい歌声、バックメンバーの見事な演奏、そして観客の手拍子が三位一体となっていて、鳥肌が立つほどの素晴らしさ! 最初の「Last Step」から達郎氏は度肝を抜いてくれます。次々と続く怒濤のようなライブパフォーマンスはどんな人をも酔わせること必至。 買って後悔のない1枚です♪ ライブに行ったことのある人はその記憶が鮮明に蘇るでしょうし、行ったことのない人はきっと行きたくなります。
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