引き籠りの童貞青年群と可憐な美少女が筋肉質でビッチ―な女ンビと化した美女軍団、そして普通のゾンビとなった男共と三つ巴の混沌とした逃走・闘争劇を繰り広げる作品です。
歴代のゾンビ物のお約束を取り入れながらも作者独自のスパイスも取り込んでおり、ここでの重要なキーワードは「童貞」です。 ゾンビ映画のマニアックで視覚的なパロディに加えて逃走中、「中野ブロードウェイ」に紛れこんだ主人公のボンクラ青年達が当地に訪れた事が有る方なら思わずニヤリとしてしまう有名店を背景に逃げ惑う様は一見の価値有り。 笑わせ怖がらせると共に主人公の逃走を助ける宅急便の運転手吉田さんの泣かせるエピソードとグラマーで怖い女ンビと健常者の紅一点美少女「ハルカちゃん」のタイプが異なるお色気を忘れない点も心憎いです。
ロメロゾンビ映画ポスターのパロディから単行本をVHSテープに例えたデザイン、作者と中野ブロードウェイ所縁の方々との巻末対談(2巻以降に続くらしいです)、オマケ宣伝漫画、町山智浩氏の映画化を推す文が載った帯等遊び心に溢れた本です。
ちょっと濃いアイデアを詰め込み過ぎの気は致しますがツボに嵌ったら堪らない作品です。 大推薦です。
内容に深みが無く、中途半端で残念です。 真木よう子は、もっと演技力もあり、観ている者に、感動でもいいし、もしくは迫力でもよかったけど、いずれもあれ?? ってところで終わっていたので物足りなさを感じました。
帯についていた、安野モヨコ、大友克洋推薦とあったのを信じて買いました。 両氏の推薦は、まったくその通りだと読み進めながら感じた納得の一冊です。 映画や本でごくごくたまに出会すことのできる「このストーリーが終わらずにいつまでも続いて欲しい」という感覚が味わえます。
中野ブロードウェーに立て篭もり、コスプレあるいは下半身丸出しの姿で女ンビ(じょんび)と戦う童貞・処女たちを描いたゾンビ・ホラー・コメディの傑作です。 映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の路線で、英国人のダメ人間がパブに篭城するなら、日本のボンクラは中野ブロードウェーだ!と言う余りにも短絡的な企画を綿密な取材と溢れるホラー映画愛に塗してコミック化した、日本でしか成し得ない作品です。
・超肉食(好物は男性生殖器)でレズビアン、妖艶敏捷な知能を残した女ンビ(♀) ・彼らの被害者がなる通常の頭を破壊されない限り動きを止めない低知能のゾンビ(♂)。 ・健常人の生き残り(主に引き篭もり、ニート、童貞、処女と言った外界や他人との接触が少ない者) 以上の3つの勢力の内、一番ひ弱で滅びそうな健常人(と果たして言えるのかと不安が残る) を主人公としています。 元々コミュニケーション能力や体力に問題が有るメンバーに人類の未来が掛かっている様子は相当ブラックなのですが、すぎむら氏の特徴である弱者・愚者(とホラー映画)に向けるユーモアと愛に溢れたペンによってスリリングながら非常に面白い作品となっております。 この巻では怪異で大量発生した女ンビ、ゾンビの原因・特徴が徐々に解明され、後半都条例的にかなり際どい少女ンビが現れる等、実に興味を逸らしません。
オマケは作者すぎむら氏と中野ブロードウェー研究科仲村瞳氏の対談型ルポ4頁、オマケ漫画2頁、すぎむら氏の作品歴を映画予告編風に編集した3頁が掲載。 帯には同じくゾンビ漫画の傑作「アイ・アム・ア・ヒーロー」の花沢健吾氏による「いい話」付きの推薦文が掲載されています。 コメディタッチのゾンビ物がお好きでちょっと際どいエロティシズムに拒否感が無い方には大いにお薦めです。 季刊誌「NEMESIS」掲載で連載間隔の長さが珠に瑕です。
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