本書は、遺伝子が変化する仕組みを巡る。進化の過程において、ゲノムはどのようにして変化するのか。変化したゲノムが生き残っていく仕組みは。あるゲノムからあるゲノムへと変化したということを、どのように判別するのか。このような問いを巡って、遺伝学研究の現状を概説したのが本書である。
序章と第一章は、主に木村資生の中立進化説についての解説。自然淘汰により、生存に有利なものが生き残るとする従来の進化説。それに対し、中立進化説は遺伝子浮動、突然変異を変化の原動力と捉える。著者によれば、1970年代に遺伝学のパラダイムは中立進化説に取って代わられた。中立進化説は確立した「中立論」である。著者が言うように、まだ従来の進化説のような解説が散見される。この序章、第一章はきちんと読まれるべきだろう。第一章では序章の概説を受け継ぐ。集団遺伝学の数理モデルを使い、中立説をさらに詳しく提示。生物集団の中で中立的な遺伝子浮動が、いかに生き残っていくかが示される。
第二章は遺伝子の産物であるタンパク質の進化について。ある生物のタンパク質が、他の生物のタンパク質と共通の祖先遺伝子まで辿れるかどうか。つまり、二つのタンパク質が相同であるかどうか。また、あるタンパク質をコードする遺伝子が進化するにあたって、他のタンパク質をコードする遺伝子の進化にどれほど影響を受けるか。このことが統計や行列などの数学を使って提示される。第二章は生物情報学bioinformaticsについてである。ただ、第二章は説明されない専門用語が多く、読むのはやや困難を覚える。
第三章は特に面白い。ここは水平遺伝子移動についての解説である。祖先から子孫へと「垂直的」に受け継がれていく遺伝子。それとは違い、異なるゲノムからゲノムへと移動する、流動的な遺伝子がある。ゲノムの変化は突然変異だけでなく、このような流動する遺伝子によってももたらされる。そして、ゲノムの流動性は考えられるよりも大きい。「動く遺伝子」たちであるファージ、プラスミド、インテグロンなどが解説される。驚くのは、それらが別のゲノムのなかに入り込むための「戦略」である。さらに驚くのは、侵入される側のゲノムが備えている「防御機構」であり、DNAの修復機構である。極めてミクロな世界で展開される、遺伝子のせめぎ合いにただ驚くばかりだ。
第四章は多細胞生物のゲノム進化に焦点を絞る。様々な多細胞生物がそれぞれ独自の進化の経路を持っていること。それらの進化にゲノムの変化がどう関わっているかが語られる。第五章は古代DNAについて。化石などに見られる太古のDNAをどう扱うかについて。DNAの抽出の難しさが語られる。そして、ネアンデルタール人のDNA分析、中国の黄河流域に住んできた人々の遺伝子多様性について、実際の研究が語られている。最後に、本書全体をまとめる「結び」がある。
本書は遺伝子が変化する様について、専門書の一歩手前の位置で解説している。遺伝子変化の様々な仕組みについて、驚くべき記述に溢れている。知的興味を大きくかき立てられる、魅力的な本だ。
「人は人しか信じられない。人は人にしか賭けられない。」 今までの戦いを経た志摩真は、南海証券を始めとする証券会社が 素人投資家をカモにしていることが根本的な問題であると痛感した。 投資家のための証券会社を設立するため、大手スーパーダイカルの 社長に掛け合うが。そこに南海証券デイトレーダー主任の 小幡虎盛がやってくる。自分のロスカットのために勝負をお願いする というのだ。真も新証券会社設立には小幡の力が必要であると感じ、 この勝負を受ける。
株マーケットは4巻から内容が微妙に変化してきた。株の勝負よりも 日本の景気に関するファンダメンタルな内容を重視してきたようだ。 この方針は評価できる。よい企業を見つけて長期投資することは 投資で利益を得る方法の1つだからだ。
違う、何かが違う。素人投資家のための新証券会社を設立しよう とした志摩真は南海証券の徹底的な妨害に会う。その様なときに 日本の構造改革により老舗の代門工業が潰されることが決まった。 企業を倒産させることで莫大な利益を得ようとする志摩蒼一。 金のためなら平気で人々を不幸にさせる彼のやり方に反発した 真は全財産を代門工業につぎ込む。次回の株主総会ですべてが 決まるのだ。そして・・・
もっと大事なことは、まっとうに生きる人々を幸せにするような 本当のマーケットを作ることだ。この国に生きる多くの人々と ともに僕も力を尽くしたいと・・・・・・今は心からそう思う。
アメリカで真と同じように大株主となって自ら企業の経営に 乗り出す大投資家がいる。彼!の名はウォーレン・バフェット。 人々は彼をオハマの賢者と呼ぶ。
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