初めにお断りするが、僕はこの映画の大ファンだ。劇場公開時は子供だったため、初見は20歳を過ぎてからレンタルビデオで観たが、その衝撃は未だに忘れる事ができないし、今でも変わらない。このコレクターズ・エディションもあの傑作ドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス』が含まれると聞いた時、「やっとディスク化されるんだ!」と心底嬉しかった。 だが、あらためて79年版と2000年完全版を比較すると、大方の本作ファンの方と意見が違うだろうが、僕は前者の方が優れていると思う。(決して長さの問題ではありません)理由は単純で、完全版ではコッポラの政治への倫理的メッセージ性が具体的なシーンとセリフによって露骨に出過ぎ、前者では可能な『解釈の多様性』を弱め、作品全体の暗喩的かつ象徴性な魅力を減じてしまっているからだ。
ベトナム戦争や米国政治への批判という問題は、『地獄の黙示録』には二次的な事でいいと思う。
ウィラードが河を遡り、カーツに出会い、殺す。その寓話は、観る人の数だけある『魂の奥への深い旅』としてそれぞれの人の中で意味を見出せばいいし、また意味を求めず圧倒されるだけでもいい、と考えている。
初公開当時の現在は廃盤になっているサントラと比べ デジタルリマスタリングを施されているので 音が非常にクリア!! しかも、今回はプランテーションのシーンの 音楽も追加されています。 しかし、初公開版のサントラは2枚組みでボリュームがあり ワルキューレの騎行には戦闘シーンの音が そのまま入っており臨場感が楽しめました。 その点がなくなってしまっていて残念・・・ そのため4点です。 ですが、純粋にサントラを聞きたい方にはお勧めですよ!!
映画本体の重厚さをこの本を読んで新たにしました。Apocalypse Nowの映画自体が、文学的要素を醸し出しながらも、当時のベトナム戦争化に起こった事実を巧みに取り入れていること、スタッフさながら、ベトナム戦争同様の狂気に陥りながら、撮られているものであること、すべての詳細がこの一冊にあります。ちなみに、この筆者自身もこの映画を40回も見たという相当のマニアです。アルファベット順に辞書形式で書かれていることで、この本の本質を失うことなかれ。この本はマニアに支えとなってくれます。
50%オフ(3750円)まで値段が下がったので購入しました。 1年前のリリースですが、商品仕様の詳細について紹介しておきます。
Disc-1 『地獄の黙示録』本編
1枚のディスクに劇場公開版(147分)と特別完全版(196分)の本編を収録。 コッポラ監督の意向により、DVDには収録されていた6分間のエンドクレジットは 入っていない。付属のブックレットには主要キャストとスタッフのリストの記載があるが、 エンドクレジットの内容は特典としても収録されておらず、ちょっと惜しい。
ヘラルド/角川発売のDVD盤は、撮影監督のV・ストラーロ監修のマスターを 使用していたため、画角は彼の推奨する2.0:1で収録されていたが、 今回のBD盤はコッポラ監修マスターを使っており、本編の画角は2.35:1となっている。 これにより、DVD盤よりも映像の左右の情報量が増えた。
音声は英語5.1ch DTS-HDMAに加え、特別完全版ではヘラルド/角川盤DVDの日本語吹替 音声も選択できる。こちらはDVDがドルビーデジタル5.1chサラウンドでの収録だった のに対し、2.0ch DTS-HDMAでの収録となる。
本編の字幕は戸田奈津子訳による劇場公開時のものを収録。フォントは明朝体を使用。 字幕フォントはすべてのディスクに共通。 また、他のレビュアーが指摘していないことだが、このブルーレイでは 本編に英語字幕が収録されていない(DVDには収録されていた)のが残念。
特典としてコッポラ監督による音声解説を収録。いずれの本編からも選択可能だが、 内容の大部分は共通している。こちらの字幕はいつものスタジオ・カナルの直訳調翻訳。
Disc-2 ドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録』+特典映像
長らく入手困難だった長編ドキュメンタリー『ハート・オブ・ダークネス』(96分)を HD画質で収録。正式には副題は「コッポラの黙示録」だが、ディスク内メニューには 原題通りの「映画制作者の黙示録」と記載されている。 音声は英語2.0ch DTS-HDMA、字幕は日本語に加え英語も収録。 劇場公開時および過去のソフトを観ていないので確認はできないが、 日本語字幕の翻訳は普通のレベル。メニューにはないがチャプターも設定されている。 フランシス&エレノア・コッポラ夫妻による音声解説(非常に面白い内容)も収録 されており、こちらの字幕も特に不自然な点はない。 その他の特典は以下の通り。 ・フランシス・コッポラによる注釈つきのジョン・ミリアスの脚本(抜粋) ・ストーリーボード ・写真アーカイブ ・宣伝アーカイブ(オリジナル劇場予告編+写真資料)
DVDにはあった特別完全版の予告編が収録されていないのは残念。 脚本やパンフレットなどの写真も、そのままの収録サイズでは字が小さすぎるので、 拡大して見られるようになっていればなお良かったと思う。
Disc-3 映像特典集
日本語字幕はいずれも直訳調翻訳。 パッケージに完全な特典のリストがないので、ここに記載します。
・ジョン・ミリアスのインタビュー(HD・50分) ・マーティン・シーンとフランシス・F・コッポラの会話(HD・60分) ・フレッド・ルース:黙示録のキャスティング(HD・12分) ・オーソン・ウェルズによるラジオ・ドラマ『闇の奥』1938年11月6日(37分) ・空虚な男達(SD・17分) ・削除シーン:サンパン船(SD・3分) ・追加シーン(SD・12種・26分) ・カーツ王国の崩壊(SD・6分。クレジット入りとあるが、映像のみ。コッポラの解説付き) ・5.1chサラウンドの誕生(SD・6分) ・ゴーストヘリコプターの低空飛行(SD・4分) ・ボブ・ムークのシンセサイザー・サウンドトラック(テキスト・日本語翻訳有) ・100万フィートのフィルム:地獄の黙示録の編集(SD・18分) ・地獄の黙示録の音楽(SD・15分) ・地獄の黙示録のサウンドデザイン(SD・15分) ・最終ミックス(SD・3分) ・地獄の黙示録:当時と今(SD・4分) ・2001年カンヌ映画祭のフランシス・フォード・コッポラ(SD・39分) ・哨戒艇ストリートギャング(SD・4分) ・地獄の黙示録のカラーパレット(SD・4分) ・BD制作クレジット
ブックレット
28ページ、日本語翻訳済。 内容はコッポラのコメントや、脚本・ストーリーボード・セットフォト・撮影中のメモ などの資料の抜粋、映画評論家・佐藤利明氏による解説など。 キャストとスタッフのリストはあるが、日本語吹替キャストの記載はない。
映画造りの現場の「地獄」を知るには 本書は実に向いている。 日本の映画は低予算、短期間での製作で 現場の時間の無さ、不眠不休の撮影などは大変な過酷さである点は 以前何かで読んだ。それに対し 「地獄の黙示録」はハリウッドの大予算映画であり 監督もコッポラである。余裕しゃくしゃくで撮影していたのかと思ったら もう どろどろで溜息が出る。これだけで十分映画になれると思った次第である。(そういえば 見ていないが ハートオブダークネスというドキュメンタリー映画があったか?) 本欄で「ファイナルカット」という マイケルチミノの「天国の門」を扱った本と並び 映画を別の意味で知るには 優れた本である。 それにしても映画は大好きだが 映画が仕事でなくて良かった。
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