コルトレーンの演奏をビデオで見ることができる、というだけで感激してしまいます。テナー・サックスの持ち方、マウス・ピースのくわえ方、そしてブローしているコルトレーン。ソプラノ・サックスへ持ち替えた時の求道僧のような表情がいいですね。 マッコイ・タイナーのピアノの弾き方も個性がありました。ちょうどグレン・グールドのような姿勢と指使いかな、と思いましたが。
1959〜63年の間に行なわれたカルテットや他のメンバーとの演奏を収めています。 帝王マイルス・デイヴィスとのセッションの緊迫感もなかなかのものです。マイルスの目の鋭さが他のメンバーとは全く違うのに驚きますし、オーラが漂っていました。メンバーの演奏中にそでに引っ込み煙草をくわえて眺めているマイルスの珍しい演奏風景も収録されています。 途中の映像は、ギル・エヴァンスのオーケストラと主役のマイルス・デイヴィスのセッションにコルトレーンもいます、といった扱いでした。貴重な映像なのは間違いありません。
後半は、またコルトレーンが中心で、ソプラノ・サックスを軽やかに奏でている「My Favorite Things」には感激しました。CDでは何回も聴いてきた演奏ですが、真剣に吹いている姿がたまりません。当然CDとは若干演奏が異なりますが、ここでの演奏もステキな雰囲気が漂っています。エリック・ドルフィの巧みなフルート演奏は、とても巧いですし、これも素晴らしいジャズだと思いました。
映像は全てモノクロです。音質はCDと比較すると劣ります。それを超える映像の魅力がありますので。エリック・ドルフィ、エルヴィン・ジョーンズ、ジミー・ギャリソン、ポール・チェンバー、ジミー・コブなどモダン・ジャズの全盛時代のミュージシャンの姿を知りませんので、最後まで楽しめました。
コルトレーンが1966年に来日した際に発した言葉をサブタイトルに冠した一冊。一部はコルトレーンの自伝、二部はジャズ史から見たコルトレーン評、という二部構成になっている。 著者はニューヨークタイムズに寄稿している批評家。コルトレーンの行動や逸話に関してはほとんど既知のものしか載せていないが、ファンとしての視点でなく、等身大のコルトレーンを周辺人物と共に掘り下げていっている。また音楽的観点からの評論もおもしろい。
コルトレーンはもともと天才ではない。天賦の才能はなく、変人でもなく、繊細でか弱い純粋なサックス奏者である。マイルスのような強靱な哲学はないし、オーネット・コールマンのような実験精神もない。それでも共演者をうならせ、聴衆から神格化される存在になっていく。彼自身は自分と向き合っているだけなのに、世界中の人々を惹きつける何かがある。そのヒントが、本書によって少し解かれているような気がする。
TVからの録画ですから、色は無し、モノラル、J.Garrisonのベースの音は聴こえません。皮切りの「so what]のメンバーにM.Davisの名があるのに顔がチラッと見えるだけです。えっという感じです。 でも円熟とは遠い若いM.Tynerが必死で鍵盤を叩いています。E.Dolpyがあの哲学的な風貌でフルートを吹いています。これだけでまぁいいやと思います。勿論Coltraneはインプレッションのソロをブローします。J.Cobbのインタビューもいいです。マニァにお奨めです。
「俺には判らんからお前やるよ」と読書家で月に10冊は新刊を読むという会社の役員から貰ったのが本著。いやこれが実に面白かったですわ。コルトレーンはスタンダードやバラードで好きな方が多いのでしょうがJAZZにうるさい諸兄には後期のフリーな演奏に芸術性を見出しておられます。僕はその中間派でして「いいものはいい」派でしたが、この本を読むと何か全ての作品を聴かないといけないのかなぁと思い始めました。
そうなると1964年以降のフリージャズの真っ只中に入っていくしかありませんが、その後わずか3年足らずの間に彼が残した作品の意味の深さがこの本を読んで理解できました。公民権運動あたりの記述は著者の足で掴んだ拘りの内容でしたね。面白かったです。「至上の愛」やっぱり傑作ですよね。
星の数で、評価するのは難しいDVDです。 確かにコルトレーンやカルテットの演奏風景が、モノクロですが、たっぷり入っています。好きな人にはたまらないはず。 でも、40年近く前の映像なので、ほとんど「顔」しか映っていなかったりするんですよね。感想としては「エルヴィン・ジョーンズってすごいヤツやなあ」とか。マッコイ・タイナーの演奏風景がカメラで捕らえきれていないのが、ちょっと残念。 ま、コルトレーンファンなら楽しめますね。ぜったい。 ドキュメンタリー部分は「へえー、ほおー、ふうーん、そお」以上の ものではありません。 ひとえに、コルトレーンの演奏動画が見れるってだけのものです。 バラードとかインパルス初期しか受け付けない方には、向かないかもしれません。
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