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××な彼女のつくりかた2

 まあ、そこまでの作品が味わえるとは最初から期待してはいなかったけれど、それでも最近では、3D主観系作品を除けばおそらく唯一無二の、「主人公=プレイヤー」を確立した、恋愛「物語」を読むだけではなく恋愛・エッチ「自体」を体験して楽しめるコンセプトの作品だと思ったので買いました。
 ですけどやっぱり、そこまでの作品ではありませんでした。こういう作品だからこそ言いたいことがたくさんあるので、長文失礼します。

〜ゲーム内容について〜

 まず、ゲーム開始時に主人公の名前と町の名前を決めるんですが、「高柳純一」なんてデフォルト名がある時点でイヤな予感しましたが、やっぱり普通のノベル形式ADV。普通にベラベラ喋るし、「俺は〜と思った。」というモノローグも語ってくる。言葉づかいが温和だったのが救い。「どうしたんだ?」ではなく「どうしたの?」、「〜だな。」ではなく「〜だね。」という言葉づかいです。生意気でシャラい感じはしませんでした。彼女は主人公を「キミ」と言います。

 彼女となる女の子(幼馴染)をエディットし(髪型・胸の大きさなど多数)、その子が転校生として主人公の町に帰ってきて、再会した二人が恋人になるんだけど、そのシーンですでにプレイヤーは置いてけぼり。結局、シナリオライターの小説でしかない。主人公を自分の名前に、彼女を昔好きだった女の子の名前にしてみたけど、空しいだけだった。 
 2〜3回エッチとデートをするだけで、メインシナリオは終了。その後は次々と出現する「アフターストーリー」をこなしつつ、彼女のエッチレベルや町レベルを成長させていくといった感じ。「アフターストーリー」はストーリーとは名ばかりの日常の一コマを描いただけのもので、2〜3分で読み終わる。その後は部室でのエッチシミュレーションパート→休日デートと続き終了。
 エッチで稼いだポイント(インラン・ヘンタイ・マゾ・アナル)で彼女をいろんなタイプに変更させ、部室でのエッチシミュレーションで新たなプレイが追加される。デートした場所によって町の成長ポイント(エンタメ・ヲタク・ユルユル)を溜め、新たなデートスポットを登場させたりエッチシーンで必要なアイテムを手に入れたりする。デート中エッチもあるけど、これはプレイ内容は各場所で固定。

 いかにも恋愛シミュレーション&町育成シミュレーションっぽく本格的に仕上げてるように見せてるけど、どれもこれもがエッチシミュレーションパートでの新たなエッチプレイを入手するための作業でしかない。自分が興味あるプレイを手に入れて鑑賞したら、そこでプレイ意欲は失せてしまう。純愛プレイもあるけど、7割は変態プレイ・SMプレイ・アナルプレイです。
 デートも選択肢はなくノベル形式なので、ここもただただシナリオライターの小説を読んでるだけの気分で、ドキドキしない。同じ場所に何度も行けるけど、展開は一切変わらないので、一通り全てのデートスポット行ってしまうともう飽きる。
 
 エッチシミュレーションパートは、エッチシーン数は多いけど、CGは使い回しが多い。例えばフェラだけでも5〜6種類あるが、全部同じCG(部分的にちょっと変わるだけ)。まあここは、ヒロインのエディット(髪型や下着など多数)をCGに反映させることだけでも相当な苦労だと思うので仕方ないが…。
 あと、目無し顔の主人公の姿がCGに映りすぎ。女の子の大事な部分を隠してしまう場合、主人公の体を半透明にして工夫してはいるけど、そんなだったらいっそ映さずに、部位(胸を揉む手をか、男性器とか)だけにして欲しい。こういった「主人公=プレイヤー」に近いコンセプトの作品でまで、平気で客観的なカメラマン視点に追いやられると、かなり腹立つ。目無しにしたって、客観視点に追いやられれば同じ。不自然に前髪で目を隠した顔を見せられるくらいなら、個人的には目があったほうがいい(それもエディットさせろ)。

 あと、彼女のタイプが「明るくて積極的(CV佐倉もも花=小倉結衣)」と「強がりなクール(CV沢代りず=藤森ゆき奈)」だけなのは不満。作るのが大変なゲームとはいえ、メインシナリオは少ボリュームで「デート&エッチ」の繰り返しなんだから、もう1〜2タイプ用意してくれないと値段に釣り合わない。「清楚でおしとやか」タイプは欲しかった。「カスタムメイド3D」のようにどうせ追加ディスクを出すのだろうけど、一般ゲームのDLC商法同様に、あまり褒められた商法ではない。もし出ても、声優さんが好みでなければ買わない。

 あと、ネットで他ユーザーの彼女をダウンロードするシステムだけど、パッケージ裏にあるような「男2〜3人×彼女」の3P・4Pなんてプレイしたくもないし、ダウンロードした彼女と浮気するにしても、ボイスパターンが2パターンしかないので、新鮮味は全くない。

〜個人的な意見・要望〜

 総じて感想は、ノベルADV(ビジュアルノベル)が作りたいのか恋愛シミュレーションが作りたいのかハッキリせず、どっちも取り入れて失敗した中途半端な作品です。結局この作品は、最近では貴重な「主人公の名前変更可」だとはいえ、「高柳純一」という男とその彼女とのラブラブエッチ生活を「描写」し、読ませているにすぎない。作業的なところばかり「ゲーム」にしたって、肝心のデートシーンやエッチシーンが「小説のような一方的描写、射精時の選択肢のみ」では、他の数多あるノベルADVと変わらない。むしろ面倒くさくない分、ノベルADVのほうを好む人が多いんじゃないか?

 本気で「主人公=プレイヤー」を実現した、恋愛・エッチシミュレーションを作りたいならば、妙なところ(町育成)に力をいれるくらいだったら(町育成シミュレーションがやりたかったら、そういうゲーム買うよ)、「デートやエッチシーンで必ず3択選択肢を選ばせ、プレイヤーに主人公を演じさせる」「好感度に応じてシーンの描写が変わる」などのシステムに力を入れ、同じ場所でのデートや同じエッチプレイでも新鮮に何度もやってみたくなるような作りにするべきだ(全体的なエッチシーン数は少なくしてもいいので)。
 できれば、ノベル形式自体を廃止し、3DS「ファイアーエムブレム覚醒」のマイユニット無口タイプ、PS「みつめてナイト」、「グローランサー」シリーズのように、主人公のセリフ・モノローグは一切なしで、選択肢と女の子のセリフのみで会話を表現し、エッチシーンも「俺は〜した。」という主人公視点の文ではなく、「純一は〜した。」という第三者ナレーションか、「私は純一君のモノを咥えて〜」という女の子視点の文にして、選択肢やコマンドを交えて「プレイ」させてくれるのが理想。「読ませる」だけではなく。

 シナリオ重視のノベルADVは主人公は1人の男性キャラとして描かれ名前も固定で、「主人公=プレイヤー」など成り立つわけもないと自分では思ってるので(むしろ主人公フルボイスに踏み切らないほうが問題だと思う)、「俺は〜と思った。」とか主人公の感情が描写されるのも仕方ないんだけど(それがシナリオライターの仕事だし)、こういった作品で主人公の名前を自分の名前にして、「主人公=自分」の感覚でプレイしようとすると、「俺は〜と思った。」とか逐一感情を語られるとマジでうっとうしくなる(共感できる感情だとしても)。陳腐な反感だが、シナリオライターに対して「俺(主人公)の感情を勝手に描写して押し付けるな!」って思ってしまう。「主人公=プレイヤー」なのであれば、シナリオライターが主人公の感情を小説のように描写しつくすのは、「当然の仕事」ではなく「余計なお世話」なのだ。主人公(プレイヤー自身)の感情なんか描写しなくていい。プレイヤーに委ねて欲しい。プレイヤー自身ががデートやエッチシーンで感じた感情に委ねて欲しい。何でもかんでも小説家ぶって主人公(プレイヤー自身)を描写するのは、「主人公=プレイヤー」を目指したゲームにおいては独善でしかない。

 まあこの作品もパッケージ裏やマニュアルのどこを探したって「プレイヤーが主人公となって〜」というような「主人公=プレイヤー」を示す記述は見当たらない。アンケートハガキでも「好きなシナリオライター(小説家)は誰ですか?」とかいう項目がある始末なので、Kissにとってもシナリオライターが主人公のセリフや感情を小説のように描写してしまうのは当然という考えなのだろうし、僕のような奴が何を言っても無駄なのかもしれない。

 さんざん文句書いてきたけど、幸い主人公の言葉づかいが優しめだったので、イラついてプレイできないほどではなかった。でも、「〜じゃねえか?」とかもっとワイルドな口調のほうが良かった人もいると思う。個人的には、「俺」を「僕」に変更したかった。
 ゲームシステムを根本的に「ノベル形式」から脱却させて「主人公=プレイヤー」の感覚を完全に実現することがとてもできないなら、彼女をエディットさせる前に、最低限、主人公をエディットさせるべきだったと思う。「俺」「僕」の一人称、そして口調タイプ(セリフの内容はそのままに語尾など口調だけが変化)、さらにはエッチシーンのCGに目無し顔の主人公を映すくらいなら主人公の顔もエディットできれば、自分の理想像に主人公を近づけられるわけだし、完全ではなくとも「主人公=自分」の感覚に近くなる。
 個人的にはヌキゲーのノベルADVでもやって欲しい機能だが、まずやってくれるところがあるとすれば、美少女キャラをエディットできる作品を作ってきたKISS以外考えられない。いくら自分好みに彼女をエディットできても、気に入らない性格・口調の主人公のセリフ・モノローグをダラダラ読まされては台無し。「無難な性格・口調にすればオッケ〜」なんて考え方ではなく(個性的な主人公のほうが好きな人なんてたくさんいる)、各プレイヤーが自己投影できるような主人公にエディットさせるべきだと思う。そうすれば、主人公の性格・口調も固定の他のノベルADVと差別化が図られ、「KISSならではサービス」をユーザーに印象付けれたと思う。

 理想を求めすぎた人間のレビューなんで星3つ評価ですが、「俺は〜と思った。」という主人公のモノローグを読まされるノベル形式に抵抗がなく、なおかつ「たまにはゲームらしい作品をやってみたいな」と思ってる人になら、当然オススメできる作品です。



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