素朴な鉛筆線に水彩で着彩を施した暖かい絵に惹かれて手に取ってみました。
ハクトウワシの卵から雛が生まれて育って、巣立って、
また一年経って親が求愛ダンスを踊り、また子育てをする。
そんなハクトウワシの一生を物語りながら、所々に鳥の生態に関する専門用語や
骨格や、羽の構造などが鉛筆の暖かい線で描かれた図とともに説明されており
ハクトウワシに関する簡単な図鑑的絵本となっています。
図鑑的なものなので物語性はあまりありませんが
全体にハクトウワシによせる愛情が感じられて
とても暖かい絵本だと思いました。
戦前、10年の長きに渡って駐日大使を務めたジョセフ・グルーという人物がいた。彼は日本を愛し、日米開戦を止めようと奔走した。しかし、日本に先制攻撃を仕掛けるようにシナリオを書いていたルーズベルト大統領、ハル国務長官、そして親中派の上司にその思いは届かなかった。
グルーの着任直後から離任までの10年間、さらに敗戦後はマッカーサー以降のアメリカ大使館の主の姿を、彼らに仕えた日本人執事の船山貞吉を通して描く秀作。著者は貞吉氏のご子息である。
日本を愛し、日本人の心情を理解しようと大使館内で歌舞伎を自ら上演するほどだった戦前の日本大使館の雰囲気に驚くばかりである。大使館で働く日本人を気遣い、息子である著者にまで靴を誂えるシーンや、戦後には日本人スタッフを再雇用することを本国に認めさせてから帰国するエピソードには、日本人以上の気遣いを感じる。
グルー大使は、開戦後に米国に帰ると日本を猿以下の劣等民族とみなす米国人の偏見を正そうと、全米を駆け巡る。 終戦が近づくと、日本復興のため皇室の存続を維持するべく国務次官として力を傾けたそうである。
戦前の国内事情や、近衛文麿への好意的記述には、著者に助言した人物の思想が少々入り込んでいる気がする。 ただ、これほど日米開戦を望まなかった米国大使がいた事を日本人は知るべきであろうし、彼の意見をほとんど無視する形で対日戦の準備を進めた米国上層部の詳細な研究は必要であろう。
また、この時期に開戦を避けるべく奮闘していた米国駐日大使グルーと英国駐日大使クレイギー両者の存在、彼らの冷静な分析を無視して対日戦準備を続けた米英本国について教えていただいた太田述正氏のブログに感謝するものである。
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