解説に「オリエント急行殺人事件」(74)と「遊星から物体 X」(82)を混ぜた様なとあるが、本作は72年製作だぜ、関係ない。 しいて言えば「エルゾンビ」(71)の影響があるかな。
怪奇オカルト・SF・ミステリー・パニック・モンスター・ゾンビ...何でもありのてんこ盛りながら旨く調理されている。
この手の物に打ってつけの名怪奇俳優コンビC・リーとP・カッシングに加えT・サバラスを敵役に起用、更に個性溢れる役者陣の演技合戦が奇妙奇天烈な怪事件の雰囲気を盛り上げている。 特殊メイクより演出効果の上手さで、当時として白目を剥き失血死する場面はなかなか衝撃的であった。
逃げ場の無い疾走する列車の中で繰り広げられる惨劇の数々はサスペンス効果とミステリー色が効かされた展開描写で大変見応えがあった。クライマックス場面から一波乱も二波乱もあり、結末の落ちも不可思議な余韻を残してくれる。 個人的に絶賛作品。
クリストファー・リー、ピーター・カッシング主演のHorror映画と聞けば、Hammer FilmのGothic Horrorを思い浮かべるであろう。 しかし、この作品は行き当たりばったりな脚本、特撮の陳腐さが後期Hammer Filmの比では無く、荒唐無稽は当り前の無国籍映画の典型と言っても過言ではない。 だからと言って、この作品がツマラナイ代物かと言ったらそうではなく、Hollywood作品では到底味わう事の出来ないHorror映画の珍作・怪作ではなかろうか。 但し、DVDのPackageにあるような『Horror版オリエンタル急行殺人事件』という宣伝文句は???だが。
Dracula役者演じるサクストン教授が四川省の氷壁で発見したミイラの化石の研究の為、英国へシベリア横断鉄道で運ぶ途中、 何故かミイラの化石が眠りから覚め、乗客たちを次々と餌食にしていくと言うのが、ざっとした粗筋。 まずどうやってミイラが眠りから覚めたのか?これについては全く説明がありません。 既に列車に運び込む前から、目覚めていたようなのですが、それが空気に触れたからなのか、周りの気温が高くなったからなのか? 『そんな事はどーでも良いでしょう』という乗りで物語は進んでいきます。 次にピーター・カッシング演じる医師が料理に出てきた魚の目が白くなっている理由を乗客に尋ね、乗客が『ゆでると白くなります』と答えるSceneがあります。 この『ゆでる』という回答が恰も目が白くなって死んでいるミイラの犠牲者と関連性があるように思わせるのですが、結局、関連性はなし。 『あの勿体ぶった台詞は何やってん??』で終わります。 そして究極の謎がテリー・サバラスの存在。 目的地までNon-Stopのはずが、何故かある駅で停車し、そこからテリー・サバラス率いるコサックがゾロゾロと乗り込んできます。 このコサックの連中の乗車目的が全くの謎。 映画を盛り上げるための苦肉の策だったんでしょうが、それにしても意味不明。 映画のSub-TitleにあるZombiにはこのコサック達が扮する?のですが、果たして必要あったのか???
このミイラ、劇中は悪魔の化身扱いだったのが、実は???だったというオチがあり、ホンマに口アングリとしてしまいます。 Lastは「カサンドラ・クロス」のような終わり方をして、「エアポート'75」のジョン・カカヴァスのGorgeousな音楽が流れながら、End Creditです。 まぁ退屈はしませんが、身の毛もよだつような恐ろしさ、気味悪さはありません。
B級以下のCultっぽい作品、多少バカバカしくても胡散臭さ一杯のHorror映画として超お薦めです。
嬉しい低価格の1500円で実現した『ホラー・エクスプレス』。
画質もかなり良くマニアック・アイテムとしてこの価格は画期的だと思います。
本来のTV用タイトルは『ゾンビ特急/地獄行き』。
心ない評論家にホラー版シベリア超特急と酷評を受けましたが、本作は間違いなく傑作です。
むしろ、知られていないのが不思議な位、良い出来です。
窮屈な電車内でのゾンビ兵団との大格闘。
リーとカッシングの演技合戦。
見所満載です。
また、こちらのDVDはSFホラーの第一人者・石田一氏、自ら翻訳、今までとは一味も二味も違う仕上がりになっています。
ホラー映画ファンなら必ず興奮かつ満足されると思います。
|