信長・秀吉・家康・光秀、オールスターキャスト競演による、姉川の合戦を同時進行的に追うことができます。 武将たちそれぞれの性格付けも独特で、会話もひじょうに愉しいのですが、 なにより嬉しいのは、「小説」としての仕掛けがしっかり施されているところです。 ネタバレになるので書けませんが、クライマックスでは思わず「あっ」と声を上げました。そう来たか〜!!
ぼくは、このたぐいの本をおそらく10冊以上読んでいるけれど、 ということは多少山っ気があるわけだけれど。 読んだ中では、有用さ一番である。 「小説家修行中は、一銭にもならない遊びをしていると同じ」
「とにかく書きはじめる、書いたら書き切る」 皆大切なことだ。
「小説の新人賞が必ず取れる方法」が書いてあるけれど、 それはなんだか博打の必勝法と少し似ていて可笑しい。 「博打の必勝法」は、負けてもその倍額、また倍額、と賭けていくこと。 そして勝った時点で止めること。 条件は無尽蔵にお金があること。
小説家志望は止められるか?
この小説は織田軍?の中で一番部外者な、 家康を中心に会話ベースで話が展開して行く、 ミステリー小説に近い感覚だ。 長政への内通者がいるのか? 誰に騙されているのか? どうやって殿軍が逃げおうせたのか? 気にしながら物語は進んでいくのだが 信長のイリュージョン的な再登場で、 よくわからないまま尻切れとんぼのまま 終わってしまった。 ただ今まで定石だった人物像が、新しい観点で描かれている点は 興味を惹いた。
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