まさかの廃盤。ここまで、日本音楽が迷走しているとは。
佐々木好は、その随一の魅力である透明感の声と、あくまで自らの視線を外さない等身大の佳曲で、絶対に誰にもマネの出来ない作品を作る。
まるで商業路線を意図的に踏み外しているかのようで、その孤高な世界は実は自分のすぐ隣にあることに気が付いた時、彼女の存在の凄さに感嘆する。
その愛おしさは、実にぴったりと現代の孤独に直面している人々に、潤いをもたらしてきた。
楽しめる音楽に負けて、自己表現の限界をつきつけられて引退してしまった。
これほど大事な音楽を提供してきた歌手に触れる機会が、この先現れるのか。
素敵な白竜サマの存在感に痺れます。表紙の写真も素敵です
省略・描かなさがうまい。ある殺人事件で凡ミスを犯し、責任感と衝撃から休職を命じられた北海道警の刑事。仙道のひきずる過去の大事件、その他関わったいくつかの事件、同僚をはじめとする人間関係が、少しずつ引っ張り出されて描かれる。大きな背景があぶり出しのように浮かび上がる。 また、本作で関わるいくつかの事件にしても、あまりしつこくひらめきやオチを説明しない。その省略の仕方が絶妙だ。少しずつ過去を乗り越えていく過程にも明るさがあり、読後感をよくしている。 表題作「廃墟に乞う」は特に佳作。犯人の身勝手な理屈にふりまわされながら、心のどこかで犯人のやるせない孤独に心を通わせる微妙な心情が繊細に感じられる。だから「乞う」なんて言葉が使われたのだなあ。
(1)カッコ悪いね (2)1時間2時間いても (3)じょうだんだよ (4)ねぶた (5)動揺 (6)春よ恋 (7)11月の海 (8)縄文 (9)空白の時間
デビュー作「心のうちがわかればいいのに」に続く第2作だが、伴に廃盤とは大きなショック。
こういう表現は本意では無いが、知る人ぞ知る、伝説的な歌手である。
聴く人の心中に囁くかのような表現と場面描写で、気付がけばすぐそばにある感覚にぴったりとよりそっていて、このような歌手はもういない。
商業歌手を否定しては、音楽産業自体成立せず、そもそも曲という商品を売る行為は作品の質とは直接関係は無い。
だから、どれだけマイナーで質の良い曲をリリースしても、売れなかったからといって、今の音楽業界が駄目だと言いけれないジレンマに陥る。
ならば、「CD選書」などという、ただ出すだけのシリーズは何と罪作りなことだろうと落胆する。
せめて、佐々木好のアルバム全5作をリリースして欲しかったものだが、低意識な販売に安易な期待をして傷心を抱きたくないのも正直なところだ。
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