懊悩する人間を鮮やかな筆致で描いた作品である。 緻密に練り上げた文体はすばらしい。 一気に読める。 ただ、ファンタジーだと思って読んでいたら、 どんどん暗く深く落ち込んで、やりきれない気持ち になる。 瀬川夫人の人生ってつらすぎる。 あまりに悲しすぎ。 あんなつらい仮面をかぶったみたいな人生なら、 もう逝ってよし、だ。 最後の結末で唯一救われる感じ。 現実離れしているがそれがこの小説の醍醐味である。
前期の集団、政治的映像から、主人公を作る映像に変化を遂げたテオ・アンゲロプロスにとって、「永遠と一日」は両方の集大成だろう。現在と過去を自由に行き交う映像とガンツの思いが、見事な叙事詩となって胸に突き刺さって来る。日本にも溝口健二や小津安二郎 と言った素晴らしい映像作家はいるが、世界にはもっと凄い作家がいる。
同監督の映画「エレニの旅」を観た後、それよりも評判のよい「永遠と一日」をどうしても観たくなり購入しました。この題目はあるものの長さを表しています。もちろんこの映画の内容も表しています。 主人公ががんに侵されているところから映画は始まります。ある少年と交流もあります。 観た後、静まり返った気持から、何か生きている感慨のようなものがふつふつと湧き上がってきます。 古びて疲れた心、魂があらたに力を得るようです。
今は解散してしまった大和。個人的には本当に惜しいです。このアルバムは、ハズレ無しです。特に『一本の桜』がかなりのお気に入りです。
まずはBD化、ありがとう紀伊國屋さん。だけど、このタイミング(アンゲロプロス逝去直後)でのリリース発表というのが、ちょっと心配です。と言うのも、(言い方はよくないですが)この機に乗じてのリリースならば、BDとしての完成度に不安が残るからです。しかし、紀伊國屋さんの、これまでの製品作り(画質、ブックレット、タイトルラインナップ等)には、概ね満足(価格以外)しているので、星五つ献上します。他作も含めて、巨匠が残してくれた大切な宝物の誠実な商品化を期待しています。
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